日経サイエンス  2013年8月号

特集:ニュートリノ物理学

ニュートリノで探る物質の起源

M. ヒルシュ(スペインIFIC) H. ペズ(独ドルトムント工科大学) W. ポロド(独ヴュルツブルク大学)

 ニュートリノは非常に風変わりな素粒子だ。私たちがよく知る電子やクォークなどに基づいて描き出された素粒子の一般的イメージを片端から壊しているように思える。ニュートリノは飛行中にその種類が変わり,軽くてすばしこく,検出するのはきわめて難しい。ニュートリノは数十年来,実験物理学者にとって厄介な存在だった。現在もニュートリノの基本的性質をめぐる議論が続いている。質量が他の素粒子と比べて極端に小さいのはなぜか,ニュートリノの反粒子はニュートリノ自身なのか,いったい何種類存在するのか。こうした謎が解明されれば,素粒子物理学の統一理論に向けた道が開かれるだろう。

 

 

特集「ニュートリノ物理学」をもっと知るには

再録:別冊日経サイエンス203「ヒッグスを超えて ポスト標準理論の素粒子物理学」

著者

Martin Hirsch / Heinrich Päs / Werner Porod

ヒルシュはスペインのバレンシア大学とスペイン国立研究協議会が共同設立した素粒子物理学研究所(IFIC)の宇宙素粒子物理学・高エネルギー物理学グループ教授。ペズは独ドルトムント工科大学教授。ニュートリノに関する著書「The Perfect Wave」がHarvard University Pressから近日刊行予定。ポロドは独ヴュルツブルク大学教授。

原題名

Ghostly Beacons of New Physics(SCIENTIFIC AMERICAN April 2013)

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