日経サイエンス  2013年7月号

オレンジを襲うグリーニング病

A. クチメント(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

朝食に添えられた1杯のオレンジジュースは気分を爽やかにしてくれるが,そのささやかな楽しみに危機が忍び寄っているのをご存知だろうか。世界のオレンジ大産地である米国のフロリダ州とカリフォルニア州に「カンキツグリーニング病」という致命的な植物病が上陸した。この病気はミカンキジラミという小さな羽虫の唾液腺に潜むリベリバクター属の細菌が引き起こす。初期の封じ込め作戦は失敗に終わり,米国のオレンジ産業にとって重大な脅威となってきた。日本でも九州・沖縄の一部で発生が確認され(幸いにして防除に成功),うかうかしてはいられない。キジラミの天敵である寄生バチの導入など,米国での必死の対策をリポートする。

 

ミカンキジラミのスライドショーを見る

ミカンキジラミの天敵である寄生ハチを放つ(動画)

 

 

再録:別冊日経サイエンス205「食の探究」

原題名

The End of Orange Juice(SCIENTIFIC AMERICAN March 2013)

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