日経サイエンス  2013年5月号

特集:隕石の衝撃

コンドライト隕石の秘密

A. E. ルービン(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)

 コンドライトと呼ばれる隕石は,惑星や月などの衛星,小惑星,彗星のもととなった物質でできている。コンドライトは複数の種類に分類されるが,それら各グループは特有の組織や化学組成の特徴を持っている。そこで著者らは,これらの特徴をもとに,コンドライトの各グループが,惑星ができる前の「太陽系星雲」内のどのあたりで形成され,そこではどれほどのダストが存在していたかをおおまかに推定した。

 そのダスト分布は,Tタウリ型星と呼ばれる星を周回する原始惑星系円盤に見られるものと類似している。Tタウリ型星は太陽と同程度の質量で,誕生から100万〜200万年くらいの若い星だ。ダスト分布の類似性は,Tタウリ型星系が太陽系史における初期の太陽とその周囲にあった円盤に極めて似ていることを示唆している。

著者

Alan E. Rubin

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の地球化学者。様々な種類の隕石を研究している。学術論文に加え,約30編の一般向け宇宙科学の記事と著書「Disturbing the Solar System」(Princeton University Press,2002) がある。小惑星 6227Alanrubinが同名の人物と同様,ややエキセントリックな(軌道を持っている)ことを指摘している。もっとも,地球に激突しそうなのは彼の方なのだが。

原題名

Secrets of Primitive Meteorites(SCIENTIFIC AMERICAN February 2013)

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