
今年1月以降,九州など西日本を中心に微小粒子状物質(PM2.5)がたびたび高濃度で観測されている。こうした国境を越えてくる大気汚染物質はその多くが中国に起源をもつとみられている。
中国は経済発展にともなって大気汚染のレベルも上がっているが,今年例年以上に汚染がひどかったのは,大陸に寒波が居座って,上下方向の対流活動が起きにくい状態だったことも関連しているとみられる。こうした汚染物質が,東向きの風に乗って日本に向かって流れた。
航空機による観測やコンピューターモデルを使ったシミュレーションで,越境大気汚染の実態解明が進んできた。アジアからの日本に飛来する汚染物質は,主として4つのルートをとることがわかってきた。