
美は細部に宿る。アフリカ南部のナミビアの固有種,アロエ・エリナケアは絶滅の危機に瀕しているが,その葉を染色して顕微鏡で調べていた研究者は,ステンドグラスの渦巻きのような美しい構造を見いだした。マウスの網膜を拡大すると,そこには各種の細胞が織りなす古い森のような風景が浮かび上がる。庭の植え込みのマルバウツギの葉の表面は星形の毛の海のようだ。顕微鏡の下では生物が驚くべき姿を顕わにし,見る者にダーウィンが自然の「尽きせぬ美」と呼んだものを改めて実感させる。2012年オリンパス・バイオスケープ・国際デジタル画像コンペティションの優秀作品の中からSCIENTIFIC AMERICAN編集部の選りすぐりを紹介。
掲載した画像は,
アロイン細胞/網膜のアストロサイト/二分裂する珪藻/チョウの羽/シダの胞子嚢/イラガの幼虫/ゼブラフィッシュの幼生/マルバウツギの葉の毛
原題名
Small Wonders(SCIENTIFIC AMERICAN January 2013)