日経サイエンス  2013年4月号

特集:首都直下地震

 東日本大震災から2年。大津波に襲われた沿岸域や福島第1原子力発電所事故の被災地は復興に向けた長く厳しい道の途上にある。この大災害をもたらした巨大地震は平安時代に起きた貞観地震の再来とみられている。そして古文書によれば貞観地震の9年後に関東で大地震が起きた。さらにその9年後,東海以西の太平洋沿岸が大地震による大津波に襲われた。近い将来予想される東南海地震と南海地震,もしくはこれらと東海地震が連動する大地震と同タイプのものだったようだ。ただ,順番からいえば関東の大地震の方が先だった。

 東日本大震災が貞観地震の再来としても,同じように事態が推移するかどうかはわからない。これら大地震は,当時たまたま相次いで起きただけかもしれない。ただ首都圏の地下では東日本大震災前から歪みが蓄積しつつあることがわかっている。阪神・淡路大震災と同規模の直下地震が首都圏でいつ起きても不思議ではないと専門家はみている。

 首都圏の地下構造や地震活動は,他の地域より複雑で,地震活動もわからないことが多かったが,ここ数年で研究が急進展した。本特集の「見えてきた地下構造」では,明らかになってきた首都圏地下の風景を詳しく紹介する。続く「活動期はいつ始まるのか」では首都圏の地震活動に関する最新成果を解説,将来を展望する。地震活動を語る上で重要な位置を占める関東大震災と安政江戸地震については,それぞれ写真と絵で当時の状況を再現した。

 

 

見えてきた地下構造  中島林彦  協力:平田 直/佐藤比呂志

 

活動期はいつ始まるのか  中島林彦  協力:石辺岳男/藤原 治/金子浩之

 

写真で見る関東大震災       

 

絵で見る安政江戸地震

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