
私たちの脳は数十億の神経細胞からなり,それらは数兆もの接合部を持つ配線で結ばれていて,膨大な数の微弱な電気信号が常に行き来している。近年,多数の神経細胞の活動を同時計測する技術と神経系を詳細にシミュレーションする技術の発展で,信号が流れるタイミングにも重要な意味があることがわかってきた。例えば,ある物体を見ると,特定の神経細胞群が即座にタイミングをそろえて信号を発し,その物体を表現する脳の部分を一時的に活性化する。このタイミングシステムの働きがわかれば,脳の活動をより深く理解でき,現在よりもはるかに効率的なコンピューターを開発する突破口が得られるかもしれない。
著者
Terry Sejnowski / Tobi Delbruck
セノースキーはハワード・ヒューズ医学研究所の研究者であり,ソーク生物学研究所フランシス・クリック記念教授 。ソーク生物学研究所計算神経生物学研究室長でもある。
デルブリュックはチューリヒ大学ニューロインフォマティクス研究所センサー研究チームの共同リーダー。
原題名
The Language of the Brain(SCIENTIFIC AMERICAN October 2012)
サイト内の関連記事を読む
キーワードをGoogleで検索する
脳の情報表現/スパイク頻度符号/スパイクタイミング依存可塑性/籠細胞/記憶の定着/ニューロンの受容野