日経サイエンス  2013年2月号

特集:サイコパスの秘密

専門家が語るサイコパスの実像

S. O. リリエンフェルド(エモリー大学) H. アルコウィッツ(アリゾナ大学)

 サイコパス(精神病質者)と聞いて頭に浮かぶのは,猟奇殺人や連続殺人犯といったイメージ。確かにサイコパスは人畜無害な人たちとは言えないが,こうしたイメージは事実からずれている。ほとんどのサイコパスは暴力的ではないし,暴力的な人のほとんどはサイコパスではない。サイコパスは必ずしもみんなが考えているようなものではない。

 サイコパスは表面的には魅力的であり,得てして他人には良い印象を与える。このため極めて正常に見えることも多い。しかし,彼らは著しく自己中心的で,他人に対する共感や愛情が欠けており,衝動的な行動を抑えるのが難しい。そんな人々だ。

 サイコパスにはいくつもの誤解がある。「サイコパスは精神疾患」「サイコパスは治らない」というものも思い違いだ。サイコパスについて一般の人が抱きがちな誤解について,心理学の専門家が解説し,サイコパスの本質に迫る。

 

 

再録:別冊日経サイエンス191 「心の迷宮 脳の神秘を探る」

著者

Scott O. Lilienfeld / Hal Arkowitz

リリエンフェルドはエモリー大学の心理学教授であり,アルコウィッツはアリゾナ大学の心理学教授。ともにScientific American Mindの編集顧問を務めている。

原題名

What “Psychopath” Means(SCIENTIFIC AMERICAN MIND December 2007/January 2008)

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