日経サイエンス  2013年2月号

特集:サイコパスの秘密

日経サイエンス編集部

 サイコパス。日本語で精神病質者と呼ばれる人々だ。彼らは極端に自己中心的であり,罪の意識や他者に対する共感といった感情に欠けている。周囲の迷惑を考えず,気ままに振る舞い,時には凶暴な行為に走り,犯罪に手を染めることもある。神経科学者によると,これはサイコパスが普通の人々とは異なったやり方で,脳内で情報を処理しているためらしい。こうした脳科学の成果は,不可能とみられていたサイコパスを治療する手段を見つけるための手がかりになるという。

 サイコパスは私たちの身近にもいるはずだ。迷惑な人物としてだけでなく,時にはきわめて有能な人物として。成功したビジネスマンや,指導力に富む政治家,あるいは腕のいい外科医らの資質は,サイコパスの属性に通じるものがある。強烈なプレッシャーにも動じず,冷静に集中力を保ちながら物事を進めることができる人々だ。彼らのこうした性質に注目することで,サイコパスの真実に迫る。

 サイコパスと聞くと,映画のハンニバル・レクター博士のような連続殺人犯や猟奇殺人者といった人物像を連想する人が多い。そんなイメージが先行し,誤解されている面がある。「サイコパスはみな暴力的」「サイコパスは精神疾患である」「サイコパスは治らない」……。こうした不正確な認識を専門家が指摘,サイコパスの実像をわかりやすく描き出す。

 

 

サイコパスの脳を覗く  K. A. キール(ニューメキシコ大学)/J. W. バックホルツ(バンダービルト大学)

サイコパスに学ぶ  K. ダットン(オックスフォード大学)

専門家が語るサイコパスの実像  S. O. リリエンフェルド(エモリー大学)/H. アルコウィッツ(アリゾナ大学)

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