日経サイエンス  2013年1月号

特集:世界の科学力

報酬格差が生む力

P. シュテファン(ジョージア州立大学/全米経済研究所)

 米国はほぼすべての指標で世界の科学をリードしている。この成功は大学の研究に資金を投じてきたことによる面が大きい。優れた研究成果に高給で報いることで,優秀な人材を引き寄せ,維持できている。

 

 同じ職位における賃金格差を測る指標に「ジニ係数」がある。米国の大学教官職位のジニ係数はかなり大きい。工学系の助教のジニ係数は0.164,教授は0.22で,同じ職位でも報酬にかなりの差があるうえ,職位が上がるほど給与格差が大きくなることを示している。大学教官の給料が総じて高いこと,そして成果に賃金で報いる仕組みの存在が,米国の科学力を高めるのに重要な役割を果たしているといってよいだろう。

 

 科学者はお金だけで動くわけではないが,一流の科学者が情熱を傾けて研究できる環境を作るには資金が不可欠だ。最良の科学研究成果を上げるためには,エリート社会を育てる意味は十分にあるといえるだろう。

著者

Paula Stephan

ジョージア州立大学で経済学の教授を務め,全米経済研究所(NBER)のリサーチアソシエートでもある。著書に「How Economics Shapes Science 」(ハーバード大学出版,2012年)がある。

原題名

The Other 1 Percent(SCIENTIFIC AMERICAN October 2012)

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ジニ係数