日経サイエンス  2013年1月号

どの生物を守るべきか

M. ネイハイス(サイエンスライター)

 各地で急速に自然破壊が進み,地球史上かつてないペースで多くの生物種が絶滅したり,絶滅の危機に瀕している。自然保護活動も世界的に展開されているが,絶滅の瀬戸際にある生物をすべて救うことはできない。どの生物種を救いどれを諦めるか,保護の優先順位づけをしなければならない。ではどのように順位をつけるのか? いくつかの考え方がある。1つは,自然界でユニークな役割を果たしている生物種を優先する“機能第一”の考え方,もう1つは遺伝的多様性の保存を重視する“進化第一”のアプローチ。いわゆるホットスポットに焦点を絞り,生態系を丸ごと保全する道もある。それらのどの立場を取ればよいのか,悩みは深い。

 

 

再録:別冊日経サイエンス226「動物のサイエンス 行動,進化,共存への模索」

 

著者

Michelle Nijhuis

コロラド州を拠点とするジャーナリストで,数多くの出版物に科学と環境について執筆している。アリシア・パターソン財団の2011年度のフェローとして,絶滅の危機に瀕している生物種の保護戦略を調査した。

原題名

Which Species Will Live?(SCIENTIFIC AMERICAN August 2012)

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