
「超絶技巧」「他の追随を許さない」「最も美しくクリーン」──2人の実験には,いつもこんな形容詞がついて回る。ノーベル物理学賞の受賞が決まった米国立標準技術研究所のワインランド(David Wineland)博士と,フランスの高等師範学校/コレージュ・ド・フランスのアロシュ(Serge Haroche)教授のことだ。かつて有名な思考実験の中に登場した,生きていてかつ死んでしまった「シュレーディンガーの猫」。両氏はこれを原子や光子を使って作り,操り、観測してきた。原子のエネルギーを「高い」と同時に「低い」状態にし,光の位相を「進める」と同時に「遅らせる」。その実験は,私たちの日常感覚を超えた量子の世界を描き出す。
量子の本質を追究してきた彼らの実験は1994年から,新たな意味を持つようになった。まったく新しい計算を実現する未来の計算機,量子コンピューターの計算操作を実現するという側面だ。だが,これに対する2人の見方は,はっきりと分かれた。
*2010年8月に行ったワインランド博士へのインタビューを掲載しました。
サイト内の関連記事を読む
シュレーディンガーの猫/ノーベル物理学賞/物理学/量子コンピューター/量子力学
キーワードをGoogleで検索する
量子コンピューター/シュレーディンガーの猫/イオントラップ/キャビティQED/重ね合わせ/量子もつれ/リュードベリ原子