
山中伸弥京都大学教授が生み出したiPS細胞は医学と生物学の世界に革命を起こし,山中教授には2012年のノーベル生理学・医学賞の栄誉がもたらされた。臨床応用はこれからなので,受賞は少し先との見方もあったが,基礎科学へのインパクトの大きさから今回の受賞に至った。本誌はこれまでiPS細胞やiPS細胞によって革新が期待される再生医療の研究の進捗を詳しく報じてきた。今号では山中教授のノーベル賞受賞を記念して,こうした記事を加筆修正し,教授の業績と研究の歩みをまとめた緊急特集を組んだ。
山中教授はiPS細胞によって,皮膚や血液,骨など個別の細胞に分化した細胞の時計を巻き戻し,再びどんな細胞にでもなることができる「万能性」を取り戻せることを示した。「山中伸弥京大教授 iPS細胞で栄誉」と「生命のプログラムを巻き戻す」で,そのエッセンスを紹介する。またiPS細胞の研究の源流を探ると約50年前の研究に行き着く。体の細胞の中には,完全な個体を作るだけの遺伝情報が完全に保存されているということを最初に示した英ケンブリッジ大学のジョン・ガードン教授の業績だ。ガードン教授は今回,山中教授ととともにノーベル賞を受賞した。「ガードンから山中へ」と「最初のリプログラミング実験」で,ガードン教授の研究からiPS細胞に至る研究の歩みを紹介する。
ノーベル生理学・医学賞 山中伸弥京大教授 iPS細胞で栄誉 古田彩
生命のプログラムを巻き戻す 鹿児島昌樹
ガードンから山中へ 詫摩雅子
最初のリプログラミング実験 E. M.デ・ロバーティス/J. B.ガードン
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