日経サイエンス  2012年10月号

月探査レース「Xプライズ」

M. ベルフィオール(フリーランスジャーナリスト)

 「民間企業が月探査」などというと「本当にそんなことできるの?」と思われるかもしれない。しかし,今やベンチャー企業が作ったロケットで打ち上げた民間宇宙船が国際宇宙ステーションに行って地球に戻ってくる時代。近い将来,月探査も民間の手で行われるようになるだろう。その呼び水となるのが「グーグル・ルナーXプライズ」。月探査に世界で初めて成功した民間チームに2000万ドルが贈られる。レースには全世界から26チームが参加している。最有力は米カーネギーメロン大学のW. ホイッタカー教授が設立したベンチャー企業「アストロボティック・テクノロジー」。教授の専門は陸上はもちろん海中や地中,原発事故現場など様々な極限環境で活動する自律型ロボットの開発。月探査車のプロトタイプの走行試験なども着々と進んでいる。

著者

Michael Belfiore

フリーランスのジャーナリストでイノベーションに関する語り手でもある。民間宇宙産業と宇宙旅行に関する著書「Rocketeers; How a Visionary Band of Business Leaders, Engineers, and Pilots Is Boldly Privatizing Space」(Harper Collins, 2008)がある。

原題名

Bound for the Moon(SCIENTIFIC AMERICAN April 2012)

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