日経サイエンス  2012年10月号

エイズを発症しない人々を追う

B. D. ウォーカー(ラゴン研究所)

 かつてはHIVに感染した人のほとんどがエイズを発症して命を落としたが,現在では抗HIV薬を服用すれば普通の生活を送れるようになった。あまり知られていないが,感染者の300人に1人の割合で抗HIV薬を使わずにこのウイルスを抑制できる人がいる。「エリート・コントローラー」と呼ばれる人々で,その秘密は免疫系の複雑な働きにあると考えられている。エリート・コントローラーの体内では,HIVに感染した細胞がすぐに免疫系の標的となって破壊され,ウイルスが増殖できない。遺伝学的研究からその具体的な理由が明らかになった。ゆくゆくはエイズのよりよい予防法や治療法の開発につながるかもしれない。

 

 

再録:別冊日経サイエンス188 「感染症 新たな闘いに向けて」

著者

Bruce D. Walker

まだ研修医だった1981年に初めてエイズ患者に出会った。現在はボストンにあるラゴン研究所の所長とハーバード大学医学部の内科学教授,南アフリカのダーバンにあるクワズール・ナタール大学の非常勤教授を務めている。

原題名

Secrets of the HIV Controllers(SCIENTIFIC AMERICAN July 2012)

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