日経サイエンス  2012年10月号

フロントランナー 挑む 第20回

がんを見ながら がんをたたく:山谷泰賀

中島林彦(編集部)

体内深部に潜むがん組織の場所を目で確かめながら

重粒子線を正確に照射してがん細胞を破壊する

そんな高精度の治療に道を開く画像診断装置を生み出した

 

 

 体の奥深くにあるがん組織をその場で確認しながら,治療ビームを照射し,がん組織を破壊する──。そんな精密ながん診断・治療の実現に道をつける装置を開発したのが放射線医学総合研究所の山谷泰賀だ。「オープンPET(陽電子放射断層撮影装置)」と呼ばれる新装置は,動物実験で基本性能を検証した段階だが,山谷はまだ30代。研究者として現役のうちに夢を実現させる考えだ。 (文中敬称略)

 

 

再録:「フロントランナー 挑戦する科学者」

山谷泰賀(やまや・たいが)
放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター先端生体計測研究プログラムチームリーダー。1974 年神奈川県生まれ。2000年東京工業大学大学院博士課程修了。同大学附属像情報工学研究施設の助手を経て2004 年,放射線医学総合研究所へ。2009年から現職。2012年,第4回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞」最優秀賞を受賞。

サイト内の関連記事を読む