日経サイエンス  2012年9月号

匂いを嗅ぐ植物

D. チャモビッツ(テルアビブ大学)

 植物には鼻がないし,神経も脳もないのに,ちゃんと匂いを感じている!? そんなバカなと思うかもしれないが,匂いを手がかりに伸び方を変える植物や,匂い物質で一種のコミュニケーションをしている植物があり,その詳細がわかってきた。例えば寄生植物のネナシカズラは匂いを手がかりに適切な寄生相手を選んでいる。ある種の揮発性物質を発するトマトなどの植物に向かって伸びていくのだ。また,ヤナギやマメの木は,毛虫に食われると葉っぱから匂い物質を出し,これを感じた他の葉は毛虫を寄せ付けない物質を作り出して身を守る。動物がフェロモンで信号を伝えているのと同様であり,「これはまさしく嗅覚だ」と著者はいう。

著者

Daniel Chamovitz

イスラエルにあるテルアビブ大学マンナ植物バイオ科学センターの所長。著書「What a Plant Knows」が近く出版される。

原題名

What a Plant Smells(SCIENTIFIC AMERICAN May 2012)

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