
私たち現生人類は,すでに絶滅したいくつもの古代人類とともにホモ属という1つのグループを形成している。このホモ属は今から300万年前から200万年前の間に,東アフリカで誕生したというのが定説だ。ところが,この見解を覆しかねない化石人類が2008年,南アフリカ共和国のヨハネスブルク近郊で発見された。「セディバ猿人」と名付けられたこの化石人類は200万年近く前のものと特定され,アウストラロピテクス属とホモ属の形質を併せ持っている。例えば,腕は樹上生活をしていた類人猿と同様に長いが,手の指は道具の製作や使用に適した短くてまっすぐなものだ。ホモ属は東アフリカではなく,南アフリカで誕生したのかもしれない。
原題名
First of Our Kind(SCIENTIFIC AMERICAN April 2012)