日経サイエンス  2012年9月号

極超新星

A. ガルヤム(イスラエル・ワイツマン科学研究所)

 夜空に突如として明るく輝く星が出現することがある。太陽質量の20倍程度の星の最期である超新星爆発の輝きだ。ただ太陽質量の100倍を超えるような超大質量星は超新星爆発をせず,ガスを吹き出して次第にしぼんでいくだろうと考えられてきた。ところが近年,超新星爆発を起こした星のいくつかが超大質量星だったことが観測で明らかになった。それらは遠くにあるせいで目立たなかったが,従来観測されてきた超新星よりもはるかにまばゆく輝き,しかも輝きが長期間持続する。こうした「極超新星」の爆発では,その超大質量星の中心で粒子と反粒子の対生成が起き,それが引き金となって爆発的な核反応が起きている可能性がある。

 

 

再録:別冊日経サイエンス200「系外惑星と銀河」

著者

Avishay Gal-Yam

2004年にイスラエルのテルアビブ大学で天体物理学のPh.D. を取得後,カリフォルニア工科大学でハッブル・ポストドクトラルフェローを務めた。現在は,イスラエルのレホボトにあるワイツマン科学研究所のシニアサイエンティスト。

原題名

Super Supernovae(SCIENTIFIC AMERICAN June 2012)

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超新星大質量星対生成対不安定型超新星ファースト・スター