日経サイエンス  2012年8月号

特集:竜巻の脅威

日本でも起きた大竜巻

中島林彦(編集部) 協力:加藤輝之(気象庁気象研究所) 協力:小林文明(防衛大学校)

 2012年,ゴールデンウィーク最終日の5月6日昼頃,関東平野北部から福島県南部にかけて4つの竜巻が発生した。そのうち,筑波山参拝の門前町,つくば市北条を襲った竜巻の規模は日本で起きた竜巻のトップ3に入るとみられている。竜巻による被害は合わせて死者1人,負傷者約60人,破損建物は約2000棟。竜巻を生んだ巨大積乱雲の進路が少し南西によっていたり,成長のペースが少し速かったりしたら,竜巻は東京の住宅密集地で起きた可能性があった。そもそも竜巻はどのように生み出されるのか,つくば市が竜巻に襲われた当日,上空ではどんなことが起きていたのか,竜巻の被害を抑制するにはどうすればよいのか,竜巻の研究最前線を報告する。

 

 

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」

著者

中島林彦 / 協力:加藤輝之 / 協力:小林文明

中島は日経サイエンス編集長

加藤は気象庁気象研究所予報研究部第三研究室長。専門は大気力学,メソ気象学,集中豪雨。竜巻など極端気象のシミュレーション研究でも知られる。

小林は防衛大学校地球海洋学科教授。専門はメソ気象学,大気電気学。竜巻の観測的研究に精力的に取り組んでいる。

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

竜巻つくば市スーパーセル積乱雲メソサイクロンガストフロントダウンバースト藤田スケールF3竜巻注意情報竜巻発生確度ナウキャストドップラーレーダー数値シミュレーション