日経サイエンス  2012年8月号

特集:竜巻の脅威

早期警報目指す米国

J. ルブチェンコ(米海洋大気局) J. ヘイズ(米海洋大気局)

 米国では毎年,竜巻によって多くの犠牲者が出ている。2011年の竜巻による死者数は550人で,米国の災害史上4番目に多く,被害額も大変なものになった。2012年もすでに大きな被害が出ている。3月2日,米国中西部と南部の11州で40人以上が竜巻の被害で死亡した。米海洋大気局(NOAA)は,より早めに竜巻や雷雨の警報を出したり,ハリケーンの強さと洪水の規模を高精度で予測するため,気象レーダーや気象衛星,スーパーコンピューターのさらなる高性能化に取り組んでいる。目論見通りに行けば10年後には,住民は大竜巻が襲来する1時間前には警報を受け,余裕を持って情報収集し,家族を集めて避難できるようになるだろう。

 

 

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」

著者

Jane Lubchenco / John L. "Jack" Hayes

ルブチェンコは2009年以来,米海洋大気局(NOAA)長官を務める。専門は海洋生態学と環境学。特に海洋や気候変動,環境と人類福祉の関係に関心を持っている。地球環境問題の解決に貢献した個人や団体に贈られる2011年度のブループラネット賞を受賞した。

ヘイズは米海洋大気局(NOAA)傘下の国立気象局の局長。気象予報業務と,政府や産業界,一般への気象警報発表の任を負っている。

原題名

A Better Eye on the Storm(SCIENTIFIC AMERICAN May 2012)

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