
2012年,ゴールデンウィーク最終日の5月6日昼頃,関東平野北部から福島県南部にかけて4つの竜巻が発生した。そのうち,つくば市北条を襲った竜巻の規模は日本で起きた竜巻のトップ3に入るとみられている。竜巻を生んだ巨大積乱雲の進路が少し南西によっていたり,成長のペースが少し速かったりしたら,竜巻は東京の住宅密集地で起きた可能性があった。そもそも竜巻はどのように生み出されるのか,つくば市が竜巻に襲われた当日,上空ではどんなことが起きていたのか,竜巻の被害を抑制するにはどうすればよいのか,竜巻の研究最前線を報告する。一方,米国では毎年,竜巻によって日本よりはるかに大きな被害が出ている。米海洋大気局(NOAA)は,より早めに竜巻や雷雨の警報を出したり,ハリケーンの強さと洪水の規模を高精度で予測するため,気象レーダーや気象衛星,スーパーコンピューターのさらなる高性能化に取り組んでいる。日本が竜巻への対策を考える上で,米国の取り組みは大きな参考になる。
早期警報目指す米国 J. ルブチェンコ/J. ヘイズ(ともに米海洋大気局)
日本でも起きた大竜巻 中島林彦(編集部) 協力:加藤輝之(気象庁気象研究所) /小林文明(防衛大学校)