
われわれが地球上で生活できるのも太陽の恵みのおかげだ。その太陽の様子がおかしくなってきた。太陽が次第に「元気さ」を失っているのだ。太陽活動の活発さのバロメーターは太陽黒点の多さだが,最近の黒点数は約100年ぶりの低水準となった。静かな活動時期から,活発な時期への立ち上がりのペースも著しく遅い。
太陽活動が低下すると,地球の気候への影響が心配になる。地球温暖化が問題になっているが,逆に地球が寒くなることはないのだろうか。やはり太陽活動が極端に低下した17世紀を中心とする時期は,「マウンダー極小期」と呼ばれ,気候は現在と比べ寒冷だったことがわかっている。
太陽活動が低下しても,地球への日射量はそれほど減らないが,太陽は別な経路で地球の気候をコントロールしているらしい。そのカギを握るのが,宇宙のかなたから地球に入ってくる銀河宇宙線だ。銀河宇宙線の量が変わると気候が変わる。そして銀河宇宙線の量は太陽活動によって左右されるという。それでは今後の気候はどうなるのか。
銀河宇宙線はどのようなメカニズムによって地球の気候を左右するのか。宇宙線が増えるとその電気的な作用で雲ができやすくなると,多くの研究者が考えている。その理論の精緻化や,仮説を実証するための実験が始まっている。
太陽に一体何が起きているのか。日本の太陽観測衛星「ひので」による観測データなどから,太陽の今と,今後の地球に与える影響を探った。
活動 未知の領域へ 常田佐久(国立天文台)
地球は冷えるか 宮原ひろ子(東京大学)
雲と太陽 深い関係 草野完也(名古屋大学)
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