
双子(一卵性双生児)の兄弟や姉妹が入れ替わって学校に行き,クラスメートの意表を突く行動に出て大騒ぎ……というような筋書きはお話としてはありそうだが,見かけはそっくりでありながら性格や個性がまったく違う場合が現実にもある。一卵性双生児なら遺伝子が同じで,生育環境も同じなら個性も似てくるように思えるが,なぜ違いが生まれるのか? 近年,注目されているのは“ジャンプする遺伝子”だ。この遺伝子は自身の複製を作り出してはゲノム内の別の領域に挿入していく。この遺伝子の移動が,お母さんのお腹の中にいる胎児の脳でも成人の脳でも起きていて,最終的に脳の機能に差異をもたらしている可能性がある。
著者
Fred H. Gage / Alysson R. Muotri
ゲージはカリフォルニア州ラホヤにあるソーク研究所の遺伝学研究室の教授で,脳でニューロンがどのように作られるのかについて研究している。モートリはカリフォルニア大学サンディエゴ校の小児科と細胞分子医学科の助教。2002年から2008年までゲージの研究室でポスドクをしていた。
原題名
What Makes Each Brain Unique(SCIENTIFIC AMERICAN March 2012)
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レトロトランスポゾン/トランスポゾン/遺伝的モザイク/長鎖散在反復配列1(L1)/短鎖散在反復配列(SINE)/神経新生/レット症候群/