日経サイエンス  2012年5月号

地球を潤すサハラの砂塵

J.バートレット(ジャーナリスト)

 中国の黄土高原やゴビ砂漠の砂塵が偏西風に乗って日本に飛来する。同様のことが地球の反対側でも起きている。アフリカのサハラ砂漠の砂塵が貿易風に乗り,大西洋を越えて南米アマゾンあるいはフロリダなどに飛来する。この砂塵が海洋に鉄を運び,アマゾンの熱帯雨林に栄養分を運ぶ役割を果たしているという。アマゾンが肥沃なのは砂塵のおかげだという仮説が有力視されている。このほか,地球の温暖化効果,冷却効果などさまざまな影響を砂塵が気候変動に与えていることもわかってきた。しかし現在のところ,アフリカの砂塵がもたらす広範で複雑な影響の全体像の解明は,最もすぐれたスーパーコンピューターをもってしても難しい。

 

 

再録:別冊日経サイエンス195「空からの脅威」

著者

Jeffrey Bartholet

ベテランの海外特派員で,Newsweek誌の前ワシントン支局長

原題名

Swept from Africa to the Amazon(SCIENTIFIC AMERICAN February 2012)

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