
壁に開けた2つのスリットに光子を当ると、背後のスクリーンには光の明暗の縞ができる。だが,光子がどちらのスリットを通ったかがわかるように工夫すると,光子の挙動が変わり,スクリーンの縞は消えてしまう。
光子に何が起きたのか? 不確定性原理はその答えを教えてくれるのだろうか? だとしたら、縞を消したのは一体「何の」不確定性なのだろうか——。
3月号「光子の逆説」で読者を煙に巻いた谷村省吾先生,再登場。今回は短編です。
著者
谷村省吾(たにむら・しょうご)
名古屋大学大学院情報科学研究科教授。専門は理論物理。難しい話をやさしく語ることでは定評がある。猫の宙返りをゲージ理論で分析した修士論文「トムとベリー」で名を馳せ,以後,量子論基礎の研究にのめりこんでいる。最近,「電波をとらえるアンテナは存在するが,電子の波をとらえるアンテナは存在しない」ことを量子測定理論によって証明した。
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