
米国で急速に広がる新式の天然ガス採掘法「フラッキング」が,至る所で摩擦を引き起こしている。採掘坑に化学物質を混ぜた水を注入する方法で,坑井から洩れた化学物質が地下水に入り込み,飲料水を汚染しているとの疑惑が強まったためだ。実際に井戸水から化学物質が検出された例もあり,米環境保護局は調査と指導に乗り出した。一方,天然ガス業界は徹底抗戦の構え。フラッキングで使っている汚染水の封じこめには「若干の関連」があるかもしれないが,フラッキング自体が地下水を汚染しているわけではないと主張する。ニューヨーク州は先ごろ所有する天然ガス層の採掘を企業に認める計画を打ち出し,市民を巻き込んだ論争に発展している。
著者
Chris Mooney
ポッドキャスト「ポイント・オブ・インクワイアリー」(www.pointofinquiry.org)を主宰,「The Republican War on Science」など3冊の著書がある。
原題名
The Truth about Fracking(SCIENTIFIC AMERICAN November 2011)
サイト内の関連記事を読む
キーワードをGoogleで検索する
エネルギー/フラッキング/天然ガス/シェールガス/地下水汚染/飲料水汚染/メタン/頁岩層/米国環境保護局/EPA