日経サイエンス  2011年11月号

期待はずれのバイオ燃料

D.ビエッロ(SCIENTIFIC AMERICAN 編集部)

 植物や藻類は大気中の二酸化炭素を吸収して育つので,それを原料とするバイオ燃料は,化石燃料よりも環境負荷が小さいとされる。そのため各国が競ってバイオ燃料の普及に取り組んでいるが,実用化に必要なブレークスルーが当初予想より実現困難なことが明らかになってきた。トウモロコシの茎や葉,草木からの燃料製造についてはコスト高解決のメドがたたず,油を生成する藻類は大規模育成には至らず,炭化水素を分泌する人工微生物の実現にはさらなる遺伝子工学の進歩が求められている。ベンチャー企業の中にはバイオ燃料ではなく,プラスチックや化粧品の原料となる高付加価値の化学物質の製造へとプロセスを転用するところも出ている。

著者

David Biello

原題名

The False Promise of Biofuels(SCIENTIFIC AMERICAN 2011 August)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

代替エネルギーバイオ燃料二酸化炭素コーンエターノールハキリアリ光合成藻類油人工微生物ベンター