日経サイエンス  2011年10月号

蚊よけの新戦術 嗅覚をだませ

J. R. カールソン(米エール大学) A. F. ケアリー(仏パスツール研究所)

 蚊は優れた鼻の持ち主だ。50m以上離れた場所からヒトの匂いをかぎ取り,「おいしい血」を持つ特定の人間を集中攻撃することもある。この鋭敏な嗅覚を逆手にとって蚊よけに使うアイデアが検討されている。家の周りに蚊の嗅覚を混乱させる物質をまいたり,匂いでおびき寄せてまとめて駆除する。蚊が媒介するマラリアで毎年100万人もが命を落とすアフリカのサハラ砂漠以南での利用が想定されている。

 

 

再録:別冊日経サイエンス188 「感染症 新たな闘いに向けて」

著者

John R. Carlson / Allison F. Carey

カールソンはエール大学の分子細胞発生生物学の教授。昆虫の嗅覚の基礎研究に25年間携わってきた。ケアリーはエール大学で医師資格と神経科学の学位を取得し,現在はパリのパスツール研究所でマラリアの研究を続けている。

原題名

Scent of a Human(SCIENTIFIC AMERICAN July 2011)

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