日経サイエンス  2011年10月号

ハッカーが狙う大停電

D. M. ニコル(イリノイ大学)

 福島第1原子力発電所の事故で首都圏は今春,計画停電が実施され,数多くの都市が真っ暗になり,多くの人の生活に支障が出た。米国などでも大停電の発生が懸念されている。ただし,想定される原因は地震による原発事故ではなくテロだ。私たちはハッカーというとネット社会の犯罪のようにとらえがちだが,電力網の制御もコンピューターとネットによっており,ハッカーが介入して大停電を起こす恐れは十分あり得る。米国では実際,とある原発の安全システムが破壊されたことがある(幸い,原発は停止していた)。CIAの職員が暴露したところでは,海外のいくつかの都市ではハッカーが停電を引き起こした例もあるという。

 

 

再録:別冊日経サイエンス189 「都市の力 古代から未来へ」

著者

David M.Nicol

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の情報信頼研究所の所長および電気・コンピューター工学科教授。国土安全保障省およびエネルギー省の顧問でもある。

原題名

Hacking the Lights Out(SCIENTIFIC AMERICAN July 2011)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

ハッカースタックスネット・ウイルスサイバー攻撃マルウエア電力網ボットネットファイヤーウォールセキュリティ監査ハッシュ関数