| |  |  |  |  |  |  |  | 工藤光子 くどう・みつこ JT生命誌研究館 |  | 村田英克 むらた・ひでかつ キメック株式会社 | | | | 中村桂子 なかむら・けいこ JT生命誌研究館 | 松木 洋 まつき・ひろし 有限会社ソリッドワークス | | | | 升方久夫 ますかた・ひさお 大阪大学 | | | | |  | | | DNAは細胞内でどのような挙動をしているのか。長い間の研究により、複製、転写、翻訳、組換えなどについての知見が蓄積しているが、DNAの動きを直接見る方法を私たちはまだ手にしていない。また、この立体的動きを頭の中でイメージすることは専門家にとっても難しい。 そこでCGでの表現を試みた。本作品は「DNAって何?」というシリーズのPart2であり、DNAの複製を扱っている(シリーズは転写、翻訳、複製、組換えの全体)。文献データを基に複製に関わるタンパク質のサイズ、結合様式などを正確に再構成し、実際に動くか否かを検証した。最終的には現行の教科書とは若干異なるモデルとなったが、実験データともっとも矛盾なく動くモデルを求めると本作品のようになる。なお、本作品は、来館者にDNAの働きを伝えるために、正確な検証後、表現上不可欠な部分以外を簡略化している。 CGによる表現は、これ以外では得られない動きの検証ができ、専門家にとっては知見の再確認と次の研究のための重要な情報を与えるという研究上の意義をもつ。一方、専門外の人にはDNAの働きをより理解しやすくするという伝達の意義をもつ。一つの映像が、両者に満足を与えることができたと実感している。 |  |  | 図1 DNA複製のメカニズム DNAの2重らせんを構成する2本の鎖には方向性があり、各々逆向きになっている(5'→3'、3'→5')。DNAを複製する装置は、2重らせんをほどく反応と、ほどけた鎖を鋳型として新しい鎖をそれぞれ合成しなければならない。また、DNA複製酵素は一定方向にしか合成を進めることができないとわかっている。片側(リーディング鎖)では、ほどけてくる鎖が合成する方向と矛盾しないので、順に合成反応が進行するが、もう一方(ラギング鎖)では、ほどけてくる鎖に対して逆向きに複製が進むことになる。これを解決するために、ラギング鎖側では、独特のループ構造をとることで、合成反応のタイミングをずらすと共に、合成方向の矛盾をも解消している。 |  | 図2 複製モデルを複製を行なうタンパク質の立体構造などをもとに再構築して動かした。白いタンパク質は、ほどけて塩基がむき出しとなった1本鎖を、一時的に保護する働きをしている。 | | |  | |