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日経サイエンス
CVC
 
斉藤康彦 さいとう・やすひこ
(株)アイネス 研究課
 
 
 投資家が多数の株式銘柄を保有する場合、全銘柄の株価情報を個別に閲覧していたのでは、手間と時間がかかる。特に、画面が小さい携帯電話では、一度に表示できる情報の量が限られるので、この問題は無視できない。そこで、まず、株価の分布の特徴を大まかに把握した上で、必要な場合にのみ、各銘柄の詳細な株価情報を閲覧する方式を提案する。図1は、自動車関連銘柄から構成されるポートフォリオにおける株価の分布を、以下の手順で可視化したものである。まず、円グラフを用いて、全銘柄の度数分布を表現する。度数分布は、毎日の終値の変動率の絶対値と、毎日の終値の変動方向をカテゴリとする。各カテゴリに対応する扇形は、異なる色で塗り分ける。次に、円グラフを微小な画素に分解し、異なる色の画素が混ざり合うように攪拌した後に、再び凝縮する。これが乱点図である。乱点図の上半分は変動率の絶対値に、下半分は変動方向に対応する。また、乱点図と併せて、全銘柄の終値の合計と、前日の終値の合計に対する変動率を表示する。

図1 自動車関連ポートフォリオの可視化
 乱点図から受ける視覚的印象に基づいて、株価の分布の特徴を直観的に捉えることができる。上半分では、変動率が小さい銘柄が多いと赤が強くなり、変動率が大きい銘柄が多いと緑や青が強くなる。下半分では、株価が上昇した銘柄が多いと緑が強くなり、株価が下降した銘柄が多いと赤が強くなる。したがって、上半分で緑や青が強く、下半分で緑と赤のどちらか一方が支配的であるときは、「多数の銘柄が同じ方向に大幅に変化する」という意味で、そのポートフォリオは、不安定な状態にあるといえる。不安定な状態は、安定した状態の並びの中に、例外として出現することが多い。たとえば、図2の6月7日と12日は、他の日よりも不安定である。このような場合には、それを構成する銘柄の株価情報を、個別に閲覧する必要性が高い。

図2 例外的な株価の分布の検出