ビジュアル・サイエンス・フェスタ
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2003年
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2001年
組織構成
実行委員会
入選作品
2003年
2002年
2001年
日経サイエンス
CVC
 
加藤 香 かとう・かおり
東京工業大学・
大学院理工学研究科
佐分利 禎 さぶり・てい
東京工業大学・
学術国際情報センター
   
青木尊之 あおき・たかゆき
東京工業大学・
学術国際情報センター
吉田正典 よしだ・まさたけ
独立行政法人・
産業技術総合研究所
   
藤田幸多雄 ふじた・さだお
東京工業大学・
大学院総合理工学研究科
 
 
 
 社会開発において爆薬は欠くことができない存在であるが、強大な破壊力も持つため貯蔵庫の安全性を検証することは極めて重要である。大規模な爆発実験には多くの危険が伴うため、爆発をコンピュータ上で仮想的に実験する数値シミュレーションが注目されている。

図3 空気中を広がる衝撃波
 爆発により莫大なエネルギーが瞬間的に解放されると、爆薬は極限的な超高密度・超高圧力状態となり強烈に発光する。ガスになり急激に膨張する状態でも発光を続け、空気との界面は非常に乱れた状態になる。一方、爆発で生じた強い衝撃波は空気中を遠方にまで球状に広がり、建物を破壊するなどの危険な現象を引き起こす。

 本研究は数値シミュレーションの信頼性を検証するために、32kgのTNTを爆発させた実験の再現を試みた。3次元圧縮性流体方程式を高精度数値計算手法で解くプログラムを開発し、(独)産業技術総合研究所・爆発安全研究センターの Xeon 2.4GHz×40CPU のセルフ・メイドのPCクラスタで計算を行った。3000万点を越える格子数を用い、領域分割による並列計算を実行しても数日以上の計算時間がかかる大規模計算である。計算結果を実験で測定された値と比較した結果、爆源から遠い距離においても良く一致した結果が得られている。

 爆薬がガス状態で発光しながら膨張する様子(火炎)をビジュアリゼーションするために、POV-Ray 3.5 のボリューム・レンダリングを用いた。しかし、単純なボリューム・レンダリングでは火炎の領域での光の吸収率を大きく取れず、背景が透けて見える状態になる。実際の火炎は黒体輻射であり、外界からの光は火炎の領域を通過できない。そこで等値面表示と組み合わせることにより、乱れた火炎の複雑な構造に対するリアルなレンダリングを可能にした。一方、空気中を広がる衝撃波は、空気を圧縮し屈折率を変えるためにレンズ効果を示す。実際にも観測されるこの現象も同時にレンダリングすることで、より現象をリアルに再現している。POV-Rayによるレンダリングは1枚当たり30分〜1時間かかり、600枚の画像をレンダリングするために東京工業大学・学術国際情報センターの Titech Grid システムおよび青木研究室PC Clusterで分散処理を行っている。

図1 火薬庫の中で爆発し噴出する火炎
図2 地表で爆発し広がる火炎

 以上のようなビジュアリゼーションにより、ブラストウェーブが実際どのように伝播するかを分かりやすく示すことができたと考える。

 本研究は(社)全国火薬類保安協会において経済産業省原子力安全・保安院保安課委託の爆発影響低減化委員会のもとで行われ、高速度カメラによるTNT爆発実験のビデオ提供および測定結果との比較について協力して頂いた(独)産業技術総合研究所・爆発安全研究センターの多くの方に感謝の意を表します。
講評
この作品はTNT爆発を数値シミュレーションに基づいて可視化しており、リアルな点のみでなく、従来法では考慮されてない爆発による空気の圧力差で生じる屈折(レンズ効果)まで考慮されている点が高く評価された。