ビジュアル・サイエンス・フェスタ
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講演プログラム
2003年
2002年
2001年
組織構成
実行委員会
入選作品
2003年
2002年
2001年
日経サイエンス
CVC
 
青木尊之 あおき・たかゆき
東京工業大学
高橋 通 たかはし・とおる
株式会社有沢製作所 
 
古市 潔 ふるいち・きよし
東京工業大学
 
 
 粉体工学や破壊力学などで広く使われている離散要素法を用いて、隕石衝突によるクレーター生成過程と構造物−土砂崩れの連成シミュレーションを行った。物体を粒子の集合体として表現することで、連続体モデルに加えて亀裂や破壊などの不連続な現象も扱うことができる。粉体は時には気体や液体のように、時には固体のように振る舞う面白い性質を持つ。崩れた土砂が構造物を破壊するが、そのことにより土砂の流れる方向や強さが変化する。このような流体−構造物の連成問題まで考えることで、より信頼性の高い災害対策が期待できる。

 離散要素法シミュレーションでは粒子間の相互作用距離が短いため、N体問題に比べて粒子1個当たりの計算負荷は格段に小さいが、用いた粒子数が10万個と多いのでOpenMPを用いた並列化による計算時間の短縮を行った。

 同じような形をした粒子が多数存在する状況では、通常の可視化を行うと近くにある小さな粒子と遠くにある大きな粒子の区別がつき難い。そこで、計算結果を立体表示の動画として可視化することにした。適当な時間間隔でシミュレーションから得られる粒子の位置と半径をPOV-Ray形式の時系列ファイルとして出力する。POV-Rayによるレイトレーシングで各時刻の画像を作成する際に、視点を僅かに左右にずらすことにより、視差のついた2枚の画像を生成できる。立体表示を実現させる方法は数多くあり、著者らもいくつかの方法を試しているが、表示デバイスを選ばず最も安価な方法としてカラー・アナグリフ方式を採用した。右目・左目用の静止画像をカラー・アナグリフ方式で合成した画像は、赤−青セロハンのメガネをかけることにより視差が再現され立体的に見ることができる。時系列のアナグリフ画像をMPEG2に変換し、パソコンでもスムーズに高品位な動画再生が可能になった。

 立体表示は距離感を掴み易いため、形成されるクレーターの形状が非常によく分る。また、土砂崩れのシミュレーションでは、構造物の影響で土砂の流れが観測者の方向に変わり、スクリーンを飛び出して土砂が目前に迫る臨場感も再現することができる。

※画面上の画像も手作り赤−青メガネで立体に見えるので是非試していただきたい(赤が左目、青が右目)。

図1 隕石衝突によるクレーター形成過程のアナグリフ表示
 
図2 目前に迫る土砂
講評
簡単な立体視技術を有効に利用している点を評価した。背景にあるシミュレーション自体も評価できるが、それ以上に手軽な技術で優れた成果が示されていると思う。土砂がスクリーンから飛び出してくる臨場感なども優れていて、一昔前なら特殊な装置やソフトウェアがないと実現できない映像表示が最近ではかなり身近なものとなりつつあることがわかる。