| |  |  |  |  |  |  |  | 今村文彦 いまむら・ふみひこ 東北大学大学院 工学研究科災害制御研究センター |  | 河名俊男 かわな・としお 琉球大学 教育学部 | | | | 上野弘道 うえの・ひろみち 鹿島建設技術研究所 先端技術研究部 | 喜屋武臣市 きゃん・しんいち 亜熱帯総合研究所 | | | |  | | | 明和8年(西暦1771年)旧暦の3月10日午前8時頃に、八重山列島東方沖で地震が突然発生した。琉球全体で揺れを感じたが、地震による被害は少なかったようである。しかし、地震に伴い発生した津波は八重山・宮古の両列島を襲い、多大な犠牲者を出している。地震の規模はそれほど多くないにもかかわらず、巨大な津波が来襲したことになる。これは「津波地震」として分類される特異な事例の1つである。この津波は、沿岸及び陸上に大小300個以上の珊瑚岩(さんごいわ)を移動させ打ち上げたと言われている。これらは当時の津波の巨大な破壊力を推定できる貴重な痕跡である。 我々は、明和津波を数値シミュレーションで再現することを試みた。当時の地震規模と島々での津波の痕跡高さから津波の発生過程を推定し、数値シミュレーションの入力データとして与えた。地震断層とそれ以外による2つの波源を設定する必要があった。 津波は、沿岸部に達してもエネルギーを失うことなく、陸上部へ至り遡上を開始する。津波の周期は長いために途中で引き戻ることなく、陸上奥深くへと浸入していく。これが津波の恐ろしさである。CG作成において、津波の空間スケールとそのパワーを表現することが大きな課題であった。今回は、航空写真のテクスチャーマッピング、詳細な地形のデジタル化を行いながら、1)石垣島周辺、2)沿岸部、3)地点拡大、と対象領域を変えて作成した。なお、我々の身近な地形や家屋との比較により、津波の規模が初めて想像することができた。図1には石垣島でのCGの一例を示すが、島北東部での地盤の低い場所では、津波が峠を乗り越え反対側に越流している様子が分かる。 | | | 石垣島北東部の伊野田、桃里地区は、陸上深く数百メートル以上にわたり津波が遡上し、波力で移動した津波石があちこちに点在している。この遡上シミュレーションでは、津波を半透にし、津波石の動きと地形の関連が理解できるように工夫を行った。図2には、現在の地形に換算した国道を津波石が乗り越えて、引き波で再び海岸近くまで移動した様子が理解できる。ここでは、地形空間スケール、時間スケールも全く誇張していない。 | | |  | | 講評 |  |  |  | | 実際の災害現象を扱ったテーマが面白い。モデル化が不十分なせいか、波頭の崩壊などリアル性に若干難が残るが、ストーリー構成がそれを補ってあまりある優れた作品に仕上げている。シミュレーション結果を示すだけではなく、実写や文字を有効に利用して津波の特性などをうまく説明している点が評価できる。CG利用が理解を助けることを示すいい具体例という印象であった。 | |  | |