| 近年、コンピューターの進歩にともないコンピューターグラフィックス(CG)も格段に進歩してきている。しかし、CGによる映像表現が発達してもCGアニメーションにおける動きや振る舞いを作り出すのは人の手に頼らなくてはならない部分が多い。そのようなCGアニメーションの中で動物の群れの動きは全体で見ると複雑で、各個体に動きを与えるのは大変困難である。そこで本研究では1987年にCraig Reynoldにより考案されたBoidと呼ばれる群れの動作生成アルゴリズムを参考にし、 |
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1.群れが外敵に襲われた時の崩壊の様子 2.群れの複雑形状(樹木)からの飛び立ち といった群れの複雑な動作の作成を試みた。 |
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まず、群れが外敵に襲われた時の崩壊の様子を図1に示す。この実装には自己組織化臨界現象理論(SOC)を適用した。SOCとは系が局所的なルールを基に時間発展し臨界状態に陥る現象でSOCに従う系は一般的にべき乗則、即ちZipfの法則に従うことが知られている。この理論を群れの崩壊に適用する事は崩壊のサイズがべき乗則に従うことを意味する。以上のことから群れがべき乗則に従う大小様々な崩壊を引き起こしながら崩れていく様子を表現した。 次に、群れの三次元複雑形状からの飛び立ちについて、本研究においてはIterated Function System(IFS)の変換により作成された樹木にChaos Game Algorithm(CGA)を適用することで群れを配置し、 |
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1.CGAの軌跡の順番による飛び立ち 2.IFSのアトラクタに関するアドレス理論により写像された記号空間における距離を用いた飛び立ち |
 |  |  |  |  | | 図2 CGAの軌跡の順番による飛び立ち | 図3 IFSのアトラクタに関するアドレス理論により写像された記号空間における距離を用いた飛び立ち |  | | |
の二種類の飛び立ちを実装した。図2で示される1番目の飛び立ちについてはCGAによる初期配置が一様収束することを利用して群れが全体的に飛び立って行く様子を表現した。また図3で示される2番目の飛び立ちについては先に述べた距離を利用することで最初に反応したBoidからの距離が近い順に群れが飛び立って行く様子を表現した。 以上のように本研究においては群れと言う表現が非常に困難な物に対し複雑系の概念を適応することによって群れの複雑な振る舞いを表現した。このような手法は創発的に作成されるものであるため群れのような複雑性をともなうCGには有効であると思われる。 |
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| 講評 |
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| 本作品では反復関数系を使い複雑形状を一次元記号空間に写像し、カオスゲームアルゴリズムという一次元記号空間で一様収束するアルゴリズムを使い、鳥を樹木などの複雑形状から衝突などのないように自然に飛び立たせることに成功している。また、ボイドとよばれる群れの複雑な動きを数学的なモデルで表現できており、自己組織化させたことは評価できる。自然界の実際の群れの動きと提案された手法が比較できれば面白いのではないだろうか。 |