| |  |  |  |  | | |  | | |  | | 美術セットとCGのシームレスな接合CGによる人物像制作段階の早い段階でのカメラ位置の設定 | 過去の風景を描くにあたって、美術セットで全て再現するのは時間的、コスト的な面から難しいため、大ロングのカットは、バーチャルセットを多用しました。屋内は等身大の芝居があるので、美術セットがメインになり、足りないところをCGでリカバリーしています。バーチャルセットの手法として、ミニチュア、マット・ペインティング、CGがありますが、その中でCGを選択した理由は、美術セットでは完全にリカバリーできない部分があるからです。カットの空だけ差し替えるとか、家並みを足すなどの手を加えたとき、カメラワークがある場合でも、CG はよりシームレスな接合が可能です。銀座の街の一部だけをセットにした例では、ショーウィンドウに映る対面の建物や人物をCGで合成しました。3Dの仮合成で実際の空間をあらかじめ確認でき、演技を含め現場の段取りがスムースになりました。また、セットの図面をあらかじめバーチャルに取り込んでおけば、美術セットの形、アングル、規模、予算、などをかなり早めに把握できるという合理性もあります。例えば冒頭に、ゾルゲ邸を吉川検事が双眼鏡で見張るシーンがありますが、オープンセットの図面からCGを製作し、実際にそう見えるアングルがどこなのか検証することで、カメラの配置などを事前に設定できました。映画撮影では、監督が途中で構図の変更を希望することもままあります。マットペインティングは、通常2Dで描きますが、ベースを緻密な3Dのオブジェクトで作ることで、パースの修正などを比較的容易に行うことが出来ました。 銀座の街並みを再現するにあたり、建物・地下鉄の入り口・街灯・標識などの図面を描きおこしていき、1つ1つのパーツをCGで製作しました。そのアイテム数は1000点以上にものぼり、これを1つ1つ重ね合わせてワンカットを仕上げています。500人以上いる群衆もすべてCGです。人の動作を300カットぐらい、モーションキャプチャーして、ブロックごと様々に組み合わせています。さらに人の分布密度や動きのパターン化を避けるために、約20レイヤーに分割しています。 | | | 大屋 すべてのカットをデータベース化したことは、カラーコレクションの段階で、全体を整理する意味でも役に立ちました。また、作業の現状を把握するチェック項目もあり、スケジュール管理とクオリティ管理もできました。このため、膨大なデータ量にもかかわらず、欲しいものに行き着くのは比較的スムースでした。今後、新しいカメラや技術の登場で、こういった作り方もどんどん進化していくことと思います。 川添 今回の映画作りでは、CGをいかに料理するかによって美術セット、全体のスケジュール、予算などに大きく影響を与えたと思います。これからのCGは、監督の演出をもとに、踏み込んだ提案をしていくことが重要だと考えます。CGが映画作りのオーソドックスな手法として定着することで、ことさらCGということを意識しない製作現場になっていくのではないかと思います。 |  | | 【←1/2ページへ】 |  | |  | |