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CVC
 
 
古村 私のテーマは、「地震波動伝播のシミュレーション」です。地震が起きたとき、震源から揺れが広がり、被害を起こす強い揺れの生成される様子を予測する研究です。

 兵庫県南部地震の後、強い揺れでも振り切れずに記録できる地震計(強震計)が防災科学技術研究所により整備されました。現在日本列島には1700台の強震計が約20kmの間隔で設置されています。この「強震観測網」によって、大地震の揺れの伝わり方を高精度に測定できるようになりました。得られた膨大な観測データと、海洋科学技術センターのスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」とを組み合わせた、地震波動伝播の大規模シミュレーションを行っています。

 私たちの住む日本は地震列島です。つい先日にも2003年十勝沖地震が起きました。このとき東京は震源から数百km以上も離れているにもかかわらず、よく揺れました。この理由は、関東平野の下を柔らかい地層が厚く被っているためです。柔らかい地盤に地震波が入ると、揺れが何倍にも増幅され、しかも揺れはいつまでも続きます。

 このような現象は、関東平野に限ったことではありません。石狩平野、仙台平野、濃尾平野、大阪平野など、人口が密集する日本の都市は、例外なく大きく揺れる宿命にあります。どこが揺れやすく、また地震被害が起きやすいかをコンピューターシミュレーションによって調べておくことは、地震防災のために大切です。

Fig.1 Fig.2
Fig.3
Fig.1 強震観測網で捕らえられた2003年十勝沖地震の揺れ(オレンジ色)の伝わり方。色が濃いほど揺れが大きいことを示す。地震発生から60秒、120秒、300秒後の揺れの様子。
Fig.2 (a)2000年鳥取県西部地震の地震波の伝わる様子と、(b)そのコンピューターシミュレーション。
Fig.3 (a)関東平野の地下構造と、(b)(c)1923年関東地震(関東大震災)のコンピューターシミュレーション。
 
福田 いずれも画期的な報告でした。今日のテーマは「次世代のビジュアリゼーション」ですから、それぞれの研究が、次世代に与える影響や価値についてもお伺いしましょう。

松澤 「遠隔協調コラボレーション環境」については、可視化をツールとしたコラボレーションの必要性は、あらゆる場面で出てくるはずです。全国どこにいても同レベルの医療が受けられるとか、遠隔で実験装置を操作するなどです。ただし、データがネットワークに入った段階で、可視化以外にもいろいろな問題が出てくると思います。専用の通信システムを作る必要も出てくるでしょう。今後、どれだけ均一なサービスを展開・提供していけるかが、コラボレーション環境の価値を左右すると思います。

松田 医療のネットワークについては、松澤先生のお話にもあるように、遠隔医療など、いくつかのアプリケーションがすでに始動しています。このような領域では次の課題として、触覚や力をネットワーク上で伝えることが挙げられていますが、ネットワークなしに医療分野の今後の発展はないと思いますので、離れた複数の地点で医療情報を共有する手段の一つとして可視化はますます重要になっていくでしょう。

古村 地震シミュレーションはリアルタイム性を進めることで利用価値が高まると考えます。地震波は、時速1万km以上と高速ですが、日本列島全体に広がるには時間がかかります。地震の発生と同時に、速やかに離れた地域に揺れの予測が伝えられれば、電車やガスの供給、そして原子炉を停めるなどの災害予防策を取ることができるでしょう。

福田 ありがとうございました。ビジュアリゼーションの将来性を感じさせるお話でした。日本には、情報技術の専門家と、他分野から可視化に取り組む研究者との接点が少ないという現状があります。これからの課題は、両者がもっと協調していくことだと思います。
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