日経サイエンス

日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版です。

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SCIENTIFIC AMERICAN
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    NEWS SCAN
    天文学
    変わり者の中性子星
    予想外の振る舞いをする中性子星が見つかった


    私たちの銀河系は星々の亡骸で散らかっている。大部分の星は寿命がくると表層部が失われ,白色矮星に縮小する。地球とほぼ同サイズの高密度な天体だ。質量の非常に大きな星は超新星爆発を起こし,中性子星というさらに高密度な残骸を残す。直径が20〜40kmしかないのに,太陽よりも重い。
    1960年代以降,さまざまな中性子星が観察されてきた。猛スピードで自転しながら電波ビームを放射するパルサーや,伴星から物質を引っ張り出してむさぼり食うX線連星などがある。しかし去る8月,おそらく最も風変わりな中性子星が報告された。こぐま座にある単独のX線放射天体で,これまでのどの部類にも当てはまらないようだ。

    孤立中性子星「荒野の七人」

    科学者たちが中性子星に魅せられてきたのは,そこでの物理現象が非常に極端なものだと考えられるからだ。圧倒的な重力のために電子と陽子が融合して中性子となり,星の中心部ではその中性子が構成要素のクォークに分解しているかもしれない。こうした天体の形成と進化を探るため,一部の研究者は孤立中性子星(INS; isolated neutron star)に注目してきた。自身を生み出した超新星爆発の後,その星雲状残留物から移動して外に抜け出してきた星だ。
    過去10年で,そうした孤立中性子星が7つ見つかった。ドイツの宇宙望遠鏡ROSATによる観測でX線を放射していることが確認されたが,パルサーとは違って自転による電波ビームはまったく出していない。1960年の映画にちなんで「荒野の七人」と名づけられたこれらの中性子星は比較的近くにあり,しかも比較的若いと考えられた(ほとんどが太陽から2000光年未満で,年齢はおそらく100万歳未満)。

    新発見の悪党「カルベラ」は…

    マギル大学(カナダ)のラトリッジ(Robert Rutledge),ペンシルベニア州立大学のフォックス(Derek Fox)とシェフチュク(Andrew Shevchuk)からなるチームは,さらなる孤立中性子星を探し,通常の星が存在しない空の一画にROSATによってX線源をもう1つ特定した。宇宙望遠鏡と地上望遠鏡で詳しく観測したところ,「荒野の七人」とほぼ似たスペクトルを持つ天体と判明。だが,他の孤立中性子星とは明らかに異なり,映画で7人の用心棒が戦った悪党にちなんで「カルベラ」という名前がつけられた。
    カルベラの銀緯は異常に高く,地球から見ると銀河円盤の上およそ30度の位置にある。他の孤立中性子星と同じ性質を想定すると,カルベラは地球から2万5000光年,銀河面から1万5000光年離れていなければならない。
    すると,カルベラは銀河ハローのど真ん中にあることになる。銀河を球状に取り巻く,星のごく少ない領域だ。中性子星がハローのなかで生まれるとは考えにくいため,カルベラはその誕生時の激しい力によって銀河円盤の外に放り出されたのだろうと研究チームは考えた。しかし,理論モデルが予測するようにカルベラの年齢が100万歳に満たない場合,毎秒5000km以上という猛烈な速さで銀河から外に飛び出してきたことになる。この移動速度は他のどの中性子星よりも速い。

    謎は深まった

    このため,研究チームはカルベラの分類を考え直し,「ミリ秒パルサー」かもしれないと推定した。伴星からの物質の降着によって自転が猛烈に加速されている中性子星だ(カルベラの場合,伴星はずっと昔にむさぼり尽くされたか,散り散りになったのだろう)。この仮説が正しいなら,カルベラはずっと地球に近く(250〜1000光年),最も近くにある中性子星の1つとなる。
    だがカルベラを電波望遠鏡で観測した結果,ミリ秒パルサーが発する超高速パルスは検出されなかった。「謎は深まった」とフォックスはいう。研究チームはカルベラの正体を追って観測を続ける。また他の10個の孤立X線発生源について調べ始めており,これらも不可解な天体だと判明するかもしれない。


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    生物学
    糖が骨を丈夫に


    甘いお菓子は歯に悪いが,糖は骨を丈夫にするうえで大切らしい。骨の並はずれた強靱さは,有機物と無機物がしっかり入り組んで並んでいることによる。こうした構造を直接制御しているのはコラーゲンなどのタンパク質だと長らく考えられてきたが,最近,むしろ糖が重要だとわかった。グリコサミノグリカンやプロテオグリカンなどの多糖だ。
    ある研究チームがウマの骨の核磁気共鳴画像をもとに,多糖が骨のミネラル分の適切な結晶化を導いていると結論づけた。骨の形成過程をより詳しく理解すれば,骨粗鬆症や変形性関節症などの治療法を改善できるほか,人工骨の新製法にもつながるだろう。
    また,この研究は,骨の痛みを抑える薬として市販されているコンドロイチンなどの根拠を強めるものともいえそう。コンドロイチンはグリコサミノグリカンの1種だ。Chemistry of Materials誌2007年10月16日号に掲載。

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