日経サイエンス

日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版です。

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パネル討論「海洋深層水ビジネスの可能性と地域活性化の夢」

Part.3 環境との調和を目指して


司会 深層水は膨大ではあるけれども,決して無尽蔵ではありません。この事を考えると環境問題に関してもきちんとした対応が必要になると思われますが。      

高橋 私たちはどうしても何に利用したら良いのかという技術論に走りがちですが,現在のように社会が行き詰まってきたときこそ,社会の価値観を問い直す時期だと思います。今後は環境問題に対して技術的にどう対応するかではなく,環境と協調しながらどういう社会にしていったら良いのかという哲学を持った上で,深層水の利用を考えていかなければいけないと思います。                    

 高橋正征(たかはし まさゆき)
 東京大学教授
  70年東京教育大学理学研究科博士課程修了。
  ブリティッシュ・コロンビア大学海洋研究所主任研究員、
  筑波大学生物科学系助教授などを経て、現在東京大学大学院
  総合文化研究科教授。理学博士。
  80年頃から深層水の資源価値に着目して研究、技術開発、
  普及活動などを進めてきた。



植村 やはり企業といえども,今後は環境や資源の有効活用といったことを考えた上で,経済活動というものを考え直していく必要があると思います。
 私は美とデザインに関係した仕事をしているので,開発に際しても自然の美観というものも考慮して行うべきだと思っています。                  

橋本 従来環境というものは,行政の中では少し余分なもので,お金が余ったらやりましょうという程度のものでした。 しかし今後はそれを経済の循環の中に取り入れていくことが必要です。地域全体が環境循環型になれば,そのシステムそのものがコンサルティングのノウハウにもなっていきます。産・官・学の協調体制についても,まずきちんとした哲学を持って意思統一をして行えば,良いものが出来てくると思います。また,深層水は非常に用途が多い素材ですから,その優先順位,短期,中期,長期の計画を示して活動していくことが重要だと思います。            

高橋 私たち研究者としても情報の交換を目的に昨年の1月に海洋深層水利用研究会を発足させました。こうした研究会での情報も産・官・学の協調体制に活用していければと思います。                              

大滝 研究ということでは,それぞれ各分野で第一人者と言われる方々をコーディネイトして,英知を結集させて行くことも必要だと思います。
 今,高知は深層水利用のモデルになり得る立場にあるわけですから,高知が世界をコーディネイトしていかれるような研究開発を行って欲しいと思います。     

司会 海洋深層水は地球全体に広がるグローバルな資源であり,地球温暖化や南北問題の解決の糸口となることも予想されます。こうした大きな可能性を秘めた深層水を有効に利用していくためには当然更なる研究が必要です。また環境破壊や資源の枯渇をもたらさないためにも,十分な倫理観を備えた利用を心がけていくことが今後の私たちの課題となるでしょう。                          


司会:高木靭生(たかぎ ゆきお)
   日経サイエンス編集長


海洋深層水についてのお問い合わせは
高知県海洋局海洋深層水対策室
(TEL. 0888-21-4525)

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