パネル討論「海洋深層水ビジネスの可能性と地域活性化の夢」
Part.2 海洋深層水のビジネス化と地域産業
司会 深層水は,ビジネスを起こす新素材という観点から見ていかがですか。
大滝 日本では古くから水に対するこだわりが非常に強く,色々な工夫をして商品化しようという歴史がありました。 現実に深層水と表層水を比べて見ると明らかに異なる点がいくつかあります。ただ単に水産や農業に使うだけでなく,工業にも使えるのではないかと思います。産・官・学が力を合わせれば,世界に発信できるような新しい産業が生まれる可能性があります。またベンチャー企業の種としても期待の持てる良い分野だと思います。
大滝義博(おおたき よしひろ)
ジャフコ・グローバル 投資グループ部長
79年東北大学大学院農学研究科博士課程修了。
野村総合研究所に入社。野村生物科学研究所主任研究員、
日本合同ファイナンス(現社名:ジャフコ)審査部部長などを経て、
98年から現職。農学博士。筑波大学客員教授。
ウォーター研究会を通じて、高知県の深層水研究を支援。 |
司会 実際に深層水を利用して地場産業の育成に尽力していらっしゃる立場からはいかがでしょうか。
橋本 はじめは水産関係だけでしたが,95年に取水管を増やしてからは,予想を上回る企業の参加があり,現在42社で32の製品が商品化されています。
今のところ90%以上が食品関係ですが,その他の多くの企業からも研究開発や工場進出の話があり,多くの方が深層水に魅力を感じ始めているのだと思います。それだけに今後どうやって一層のPRに努め,科学的な研究とニュービジネスをつなげていくかが課題だと思っています。
司会 植村さんは実際に工場を計画されているということですが。
植村 素材である深層水を目の前で汲み上げていただき,またすぐ近くに相談できる海洋深層水研究所があるということは,深層水を使った化粧品の研究開発,製品化にあたっては願ってもないことです。我々としては工場ができることによって室戸の自然を汚すことのないように,逆に工場が出来ることによって室戸の魅力が増すように,美しい工場を作ろうと思っています。そこで工場ミューゼアムというコンセプトを打ち出して,博物館のように見て楽しめる工場を考えています。
植村秀(うえむら しゅう)
シュウウエムラ化粧品代表取締役社長
成城学園卒業。国際的に活躍するメイクアップアーティスト。
67年ジャパンメイクアップを設立。
82年、シュウウエムラ化粧品に社名変更。
ビューティブティックを国内に95店、海外(16カ国)に79店開設。
日本エステティシャン協会理事。
“女性の美しさのために”活動を続けている。
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司会 深層水を使ったビジネスの可能性があるのはどのような企業でしょうか。
大滝 すでに水産の方では良い結果が出ています。農業関係もあります。その他の産業については,基礎研究が進むことが前提になるのですが,一つのヒントとしては,深層水中の微量金属があります。この精密な測定が行われるようになると,鉱工業分野での利用が考えられます。さらには,電場や磁場をかけて水の性質を変えてみるというのも,新しい利用へのヒントになると思います。
高橋 今までの話は取水量が比較的少量ですむビジネスの話でしたが,逆に一日に10万トン,100万トンといった大量な水を使うビジネスの可能性もあると思います。
現在日本の発電所は表層水で施設を冷却していますが,これを深層水に切り替えれば,その分発電施設を小さくすることができ,二酸化炭素の排出量を削減することも可能です。
また,深層水は地域によって特性が違いますから,それぞれの地域固有の産業の育成にも大きく貢献できると思います。
司会 深層水と地域おこしの関係についてはどう思われますか。
植村 室戸への工場進出に関しては,良い意味で地元への刺激になればいいと思っています。化粧品にも色々な素材が必要ですが,そうしたものも極力地元のメーカーと協力してやってていきたいと思っています。それによって互いの技術の向上を図り,結果として他県からも注文が来るというような広がりが見られるといいと思います。
橋本 地域おこしということで考えると,ものづくりだけではなく,交流人口を増やすということも重要です。
今までの見るだけの観光ではなく,何かを体験するとか,健康になるといったことで人の流れを作っていきたい。高知県は自然に恵まれた地域で,今後は高知に行くだけで健康になれるといったイメージも打ち出していきたいと思っています。そのためには深層水を使った色々な施設がその核になると思っています。
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