別冊148

物理を創ったアインシュタインと天才たち

日経サイエンス編集部 編

2005年3月23日 A4変型判 27.6cm×20.6cm 144ページ ISBN978-4-532-51148-7

1,900円+税

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アインシュタインが相対論や光量子説などを相次いで発表した「奇跡の年」から100年。物理学は新技術を世に送り出すと同時に、私たちの生活や自然観を大きく変えた。世界を変えた数々の発見はどのようになされたのか──。アインシュタインや湯川秀樹、ハイゼンベルクら天才たちの人間像を通して探った。

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日経サイエンス編集部 編

目次

 

はじめに

 

プロローグ
 2人の巨人 アインシュタインとニュートン  A. ライトマン

 

CHAPTER 1 アインシュタイン

 その偉大なる遺産  G. スティックス

 少年アインシュタイン 天才はこうして生まれた  杉元賢治

 良心の人アインシュタイン  SCIENTIFIC AMERICAN編集部

 証言で追う巨人の軌跡  D. C. シュレノフ

 統一理論の夢  G. マッサー

 自ら否定したブラックホールの存在  J. バーンスタイン

 理論家を虜にした実験  P. ガリソン

 天才が開発した家庭用冷蔵庫  G. ダネン

 

 

CHAPTER 2 発見への道

 ニュートンのリンゴとガリレオ  S. ドレイク

 ニュートンはいかにして重力を発見したか  I. B. コーエン

 科学哲学の先駆者アンペール  L. P. ウイリアムズ

 カマリン・オンネスと超電導の発見  R. ド・ブリーン・オーボッター

 膨張宇宙を証明したハッブル  D. E. オスターブロック/J. A. グイン/R. S. ブラッシア

 不確定性原理と量子革命 ハイゼンベルクが歩んだ道  D. C. キャシディ

 物理の美を追い求めたディラック  R. C. ホーヴィス/H. クラフ

 

 

CHAPTER 3 時代を生きた天才たち

 獄中の天才ランダウの闘い  G. ゴレリク

 原爆を巡るボーアの大いなる誤解  J. バーンスタイン

 物理学者オッペンハイマー  J. S. リグデン

 湯川秀樹と日本物理学の青春時代  南部陽一郎/L. M. ブラウン

 

 

 

はじめに
 自然界のさまざまな驚異に接する中で,人類はなんとか自分たちが納得できる説明をしようと試みてきた。科学は,そうした試行錯誤の中から,私たちの自然認識・世界認識の1つの有力な方法として生まれてきた。そして,その科学の中心にはいつも物理学があったと言えよう。物理学の発展には多くの有名・無名の人々が関わってきたが,その節々に何人かの天才的な科学者たちが現れ,私たちの自然に対する理解を飛躍的に進歩させたことは疑いない。アインシュタインが1905年に特殊相対性理論や光量子説など,20世紀の科学に大きな影響を与えた成果をほとんど1人であげた例などは,まさしくそれだ。それから100周年を記念して,国連は2005年を世界物理年に定めた。
 本書は,月刊誌「日経サイエンス」がこれまでに掲載してきた物理学の“天才たち”の評伝を中心に再録し,今日の物理学が,そして私たちが日常当たり前のように受け入れている自然観・宇宙観が,どのように確立されてきたのかを紹介する。科学はどの分野でも,専門家以外にはわかりにくい。また多くの場合,研究の成果だけが示されるため,科学は無機的で人間的な暖かみが感じられないといった印象を持たれることが少なくない。そこで本書は,天才たちの思索の過程のみならず,喜びや苦悩,家庭環境なども含めて,その人間像を生き生きと描くことによって読者が科学をより身近に感じ,理解できるようにすることを意図した。科学好きの一般読者,とりわけ学生・生徒と日ごろ接している先生や,これから科学を志そうという若い人たちに読んでほしいと願っている。もとより本書は,大学や企業で研究活動に携わる専門家が読んでも十分応えられる内容になっている。

 

 プロローグ「2人の巨人」では,物理学の歴史の中でも特筆すべき天才として誰でも名前を知っているアインシュタインとニュートンを比較しながら紹介した。

 

 第1章「アインシュタイン」は,このうち特に,今も宇宙論や量子情報技術など最先端の研究分野でさまざまな問題を投げかけているアインシュタインに関する記事を集めた。「その偉大なる遺産」では相対論をはじめとする彼の業績が概観できる。また,家庭用冷蔵庫の開発や磁石の実験に夢中になった記事なども収録し,その意外な素顔も紹介する。「少年アインシュタイン 天才はこうして生まれた」は本書のための書き下ろし記事で,アインシュタインの天才の秘密を幼少年期に探った。

 

 第2章「「発見への道」は,重要な発見がどのようにして生まれてきたのかを紹介する。万有引力を発見し古典力学を完成したニュートン,電流の単位として名を残すアンペールやビッグバン宇宙の基盤になった膨張宇宙を確認したハッブル,相対論と並ぶ近代物理学最大の成果である量子力学の確立に大きく関わったハイゼンベルクとディラックらを取り上げた。

 

 第3章「時代を生きた天才たち」は,日ごろは自然を相手に思索と実験を進める科学者が,それぞれの時代の荒波の中でどのように生き,研究に取り組んだのかを探った。旧ソ連のスターリン体制の中で獄につながれるなど厳しい生き方を余儀なくされたランダウ,第二次世界大戦中に原爆開発と深く関わらざるを得なかったボーアとオッペンハイマー,そして戦中戦後の貧しい中で湯川秀樹,朝永振一郎ら日本の物理学者たちがなぜあれほど輝いたのかを紹介している。

 

 本書にはアインシュタインをはじめとする多くの科学者が登場するが,それでも重要な科学者たちが多数抜け落ちている。もとより,本書だけで物理学の発展を系統的に追うことはできない。ただ,科学の先人たちが何に悩み,何に喜びを見いだしながら,独創的な思索を発展させてきたのか,その一端は十分に理解していただけるものと思う。
 なお,記事中の登場人物や原著者の肩書きなどは特に断りがない限り初出当時のもので,訳者・監修者の肩書きは最新のものに改めた。

 

2005年3月
日経サイエンス編集部