日経サイエンス

日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版です。

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パズリングアドベンチャータイトル
難易度2
確実にもうかる投資法は? デニス・シャシャ

 あなたはベンチャーキャピタルの投資責任者だ。調査の結果,有望なベンチャー企業11社が見つかった。どこに投資しても,かなり大きい確率で投資額の10倍の金額を手にすることができそうだ。しかし,顧客である投資家たちは,確実にもうけたいと強く希望している。投資の成功確率を高めるために,数学の知識を生かせないだろうか?
 まずはウオーミングアップ問題だ。資金を17億円としよう。11社のいずれも,40%の確率で投資額を10倍にしてくれるが,倒産する確率も60%ある。一方,あなたの顧客は,少なくとも60%の確率で,資金を60億円以上に増やすことを求めている。17億円をどのように配分して投資したらよいだろう?
 1社に全額を投資しても,成功の確率は40%にしかならないので,明らかにうまくいかない。しかし,2社に分けて投資すれば,その少なくとも一方が成功する確率は64%となる(両社とも倒産する確率は0.6×0.6=0.36だから)。したがって,2社に6億円ずつを投資することにより,要求された確率で60億円の収益が期待でき,さらに5億円の資金を残すことができる。しかし,3社以上に投資するのは良い戦略ではない。たとえば,4社に3億円ずつ投資して,少なくとも2社以上が急成長することを期待しても,それが成功する確率はかろうじて50%を超える程度に過ぎない。
 さて,景気が急に回復したとしよう。この11社は,85%の確率で投資額を10倍にしてくれる。しかし,それに伴って顧客の要求も厳しくなった。彼らは17億円を95%の確率で100億円に増やすことを望んでいる。ここでも,1社に全額を投資するのはうまくいかない。また,2社に8.5億円ずつを投資してもだめだ。その場合,少なくとも1社が成功する確率は97.75%という高率になるが,資金は10倍になっても85億円どまりである。顧客からの条件を満たし,同時にできるだけ多くの資金を残すような方法があるだろうか?

イラスト
 
 
訳者 田中裕一(たなか・ゆういち)
ホープ株式会社第3事業部長。
専門は計算機科学。


著者 Dennis E. Shasha
ニューヨーク大学クーラント研究所教授。
専門は計算機科学。

原題名
Venture Bets
(SCIENTIFIC AMERICAN September 2002)


 
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