日経サイエンス

日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版です。

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パズリングアドベンチャータイトル
難易度1
偽の密告者 デニス・シャシャ

 神への畏敬の念があついパラノイモスでは,すべての成人女性は自分専用の祈祷所を持っている。各祈祷所には,持ち主の女性が信仰のシンボルを掲げた堂がある。もし女性Aが女性Bの堂に入ると,Bの堂は“弱く”なり,Bの祈りはその力を失って,代わりにAが力を得ることになるとパラノイモス人は信じている。

 もし他の女性が自分の堂に入ったという疑いがあるときは,侵入者を儀式の杖で叩かなければならない。ただし,人に疑いをかける場合は,侵入者を自分の目で見たのでは無効で,第三者からの通報による必要がある。誰かが侵入したという通報は,何人かから同時に寄せられることもある。

 女性Cが女性Bに,AがBの堂に入ったと通報したとしよう。それを聞いた時点で,BはAを杖で叩かなければならない。また,BはAを叩きながら,通報者はCだと伝える(Cは何人かの通報者のうちの1人の場合もある)。もしその通報が間違っていたら,疑いをかけられたAはCを叩かなければならない。しかし,通報が正しいときは,AはCを叩いてはならない。これは慣習であると同時に,Cを怒らせないためだ。Cに証拠を出されたらAは追放されてしまう。このように,他人の堂へ侵入すると後味が悪い思いをするので,ほとんどの女性はしない。

 最近,1人の人類学者がプライバシーに関するタブーを調査するためにパラノイモスを訪れた。しかし,ここの言葉がわからなかったので,観察したことを順にノートに書き留めた。今月の課題はノートの記録を読み取って,誰が誰を通報したのか,さらに可能ならば,誰が本当に侵入したのかを突きとめることだ。記録は以下の通り:

CがFに耳打ちした
BがEに耳打ちした
AがFに耳打ちした
FがAに耳打ちした
EがBに耳打ちした
AがBに耳打ちした
EがAを叩いた
AがCを叩いた
AがBを叩いた
BがAを叩いた
FがDを叩いた
AがEを叩いた
BがCを叩いた
CがAを叩いた

ウオーミングアップ問題:誰が誰の堂に入ったか?
BがAに耳打ちした
CがAに耳打ちした
AがCを叩いた
CがBを叩いた
AがBを叩いた

下の図はウオーミングアップ問題で,答えはこのページの下にある。本文の答えは下のボタン。
イラスト
 
 

ウオーミングアップ問題の答え:BはAに「CがAの堂に入った」と通報した。Cも「BがAの堂に入った」と通報した。しかし真実はBだけが侵入者だった。

訳者 田中裕一(たなか・ゆういち)
ホープ株式会社第3事業部長。
専門は計算機科学。


著者 Dennis E. Shasha
ニューヨーク大学クーラント研究所教授。
専門は計算機科学。


 
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