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| GARY ZAMCHICK |
選挙が接戦だと,やかましい告発合戦が始まるものだ。例えば,1960年にケネディが大統領に選出されるのに,シカゴの闇組織が力を貸したということが広く信じられている(
解答欄の訳者ノートを参照)。
歴史絵巻を現代まで進めると,紙などを使わない「電子投票」で八百長の懸念を耳にする。実際,コンピューターの集計プログラムを少しいじれば,一方の候補者を他方より有利にしたり,あとで結果を改竄できるように秘密の隠し扉を作っておくのは,すこぶる簡単だ。紙などを使う旧来の投票法でも,記入の読み取りや票数のカウントにコンピューターが関係していれば同じだ。
こうした不正を防ぐ最も基本的な対策は,投票した人にある種の“受領票”を渡す方法だ。これで,機械の集計と食い違いがないかを確認できるが,十分ではない。投票箱が,集計前に不正に開封されることもあるだろう。
ショウム(David Chaum)が究極の検証法として暗号に基づく方法を提案しているが,ここでは,暗号を使わない方法でも,安全を保証する投票方法(不正が行われたら,見破れる方法)が可能かどうか,実地踏査しよう。目標は次のようなものだ。
1:
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投票する時点で総票数にカウントされ,どの票も他とすり替えられたらすぐにわかるようにする。
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2:
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実際に投票者が入れた票だけが総票数としてカウントされる。投票箱に幽霊票を入れることはできない。
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3:
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投票は無記名式。票を見ても,投票者が誰だかわかってはならない。
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4:
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投票者が不正を告発するとき,誰もが納得できる不正の証拠を提供できるようにしたい。
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5:
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投票者は,自分が誰に投票したかを他人に証明することはできない(これは買収や強制の横行を防ぐため)。
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なお,現実に準じて,以下のことを前提としている。
6:
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個々の人が使う投票所は1カ所のみ。
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7:
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人々は投票所に入るときに署名し,票の総数が署名数を超えるような不正はできない。
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8:
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署名などの手書きは偽造できない。手書き文字には筆圧による凹凸の特徴もあるので,高性能の写真複写機が使われてもニセ物は見破ることができる。
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9:
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再集計が実施された場合,再集計者は信用できる(訳注:日本では再集計の制度はないが,上位2人の得票数が僅差だった場合に票の数え直しをすること。2000年のブッシュ対ゴアの米国大統領戦で行われた)。
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選挙で不正を行おうと企む陰謀者がいるとして,それに対抗する投票方法を設計してみよう。
ウォーミングアップ問題:
次の方法が目標にかなうだろうか?
票に番号を振り,ミシン目で区切ったテープのマス目にその番号を印刷する。投票者は,投票所から出る際にそのマス目を持ち帰る。再集計の必要が生じた際,投票者は自分の番号の票があるかどうかをチェックできる。この仕組みは,うまく機能するだろうか?
ウォーミングアップ問題の答え:
うまくいかない。不正を企む者が同じ番号を印刷した2組の票を作ったら,どうだろう。投票者による正規の票が捨てられてしまったとしても,再集計でこの不正をあばく手段がない。