日経サイエンス

日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版です。

CONTENTS


メールニュース会員登録(無料)
モバイルマガジンのご案内
定期購読のご案内
SCIENTIFIC AMERICAN
バックナンバーのPDF販売

パズリング・アドベンチャー
最後はいつもスペードのA デニス・シャシャ
 手品師が新しいカードマジックを考えている。普通の手品のように途中でカードをすり替えたりしないが,最後はいつもスペードのAが出るマジックだ。まず,ハートとスペードのAから7まで,計14枚のカードを裏向きにして山に積み,観客に1から7までの数を1つ決めてもらう。その数の枚数だけ山の上から順にカードを引いて裏向きのまま場に並べる。次に,並べたカードの最後の1枚だけを表向きにする。そのカードの数(Aは1とする)の枚数だけ再び山からカードを引いて場に並べる。以降これを繰り返す。何回目かにカードを引いたとき,山がちょうどなくなって,最後のカードがスペードのAならばマジックは成功で拍手喝采,それ以外なら赤っ恥だ。

 まずはウオーミングアップ問題だ。観客がどの数を選んでも,最後に必ずスペードのAが出るようにするには,あらかじめどのような順でカードを仕込んでおけばよいだろう。解の一例を図1のA〜Eに示す。
図1
ウオーミングアップ問題の答え
上の図のようにカードを並べれば,マジックは必ず成功する。観客が4を選んだとしよう。山から4枚のカードを取り,最後のカードを表に向けるとスペードの6が出る(左上)。次に山から6枚のカードを取ると,最後のカードはスペードの2になる(左下)。2枚のカードを取ると最後はハートの2(右上)。さらに2枚のカードを取ると最後にスペードのAが現れる(右下)。1〜7までの数ならば,観客がどの数を選んでも同じように成功する。
 次の問題はずっと難しい。まず観客にハートとスペードの5,6,7のカード6枚を使って好きなように山を作ってもらう。手品師はこの山の中を見ずに,残った8枚のカードを適当な順序に並べて山に付け加える。このマジックに必ず成功する方法はあるだろうか。
 最後にとっておきの難問を──。まず観客にカード7枚を好きなように選んで並べてもらう。選ぶカードはスペードのA以外ならば何でもよい。手品師は残りの7枚のカードを,観客が並べたカードの前・後・間に適当に挿入する。このとき,客の並べたカードを見てもよいが,順序を変えてはいけない。例えば,観客が7枚のカードを図2のように並べたとしよう。残りのカードをうまく挿入すれば,マジックは必ず成功する。その方法を読者への宿題としよう。
 さて,観客がどのようにカードを選んで並べたとしても,必ず成功する挿入法があるだろうか。私はイエスだと予想しているが,まだ証明できていない(訳者ノート)。しかし,きっと聡明な読者がヒントをくれるだろう。
図2
どこに何を入れればいい?
観客が図のようにカードを選んで並べたとき,残りのカードをこの前・後・間に挿入して必勝パターンを作ることができるだろうか。
◆訳者ノート
著者は次号掲載の解答欄で,観客に8枚のカードを選んで並べてもらう場合にも必ず成功する方法があると予想している。9枚を選んでもらうときにはどうしても成功しない場合がある(例:3,3,4,6,4,2,2,1,6)。ただし,ランダムに選んだ場合,このような例に当たる確率は非常に小さい(経験的には0.2%程度)ので,マジックとして十分通用するだろう。もっとも,考え込まずにカードを挿入するには,それなりの訓練と頭の回転の速さが必要だが。
答えはこちら
訳者 田中裕一(たなか・ゆういち)
ホープ株式会社第3事業部長。専門は計算機科学。
著者 Dennis E. Shasha
ニューヨーク大学クーラント研究所教授。専門は計算機科学。
 
Copyright 2005 NIKKEI SCIENCE Inc., all rights reserved