2枚の硬貨,10円玉と1円玉をトスして「10円玉は表」と結果の一部を聞かされたとき,1円玉も表である確率はどのくらいか。明らかに1/2だ。一方,「少なくとも1枚は表」と言われたとき,残りの1枚も表である確率は1/3だ。 これは一見パラドックスに思えるが,簡単に理解する方法がある。最初に,結果について何らかの情報を得る前の確率を考える。10円玉が表になる事象を10表と表し,裏になる事象を10裏と表す。1円玉も同様に1表,1裏とする。このとき,4通りの可能性があり,どれも同じ確率で起こる。 10表1表,10表1裏,10裏1表,10裏1裏 少なくとも1枚は表だと知らされると,3通りの可能性が残る。 10表1表,10表1裏,10裏1表 これらは同じ確率で起こり,そのうち2枚とも表なのは1通りだ。だから,もう1枚は裏である確率の方が高い。 しかし,カジノに乗り込む前に,「少なくとも1枚は表」と言われたのではなく,「10円玉は表」と言われた場合を考えてみよう。2通りの可能性が等確率で残る。 10表1表,10表1裏 したがって,10円玉の表裏を知っても1円玉の表裏の推測には役立たない。 このような見かけ上のパラドックスを解明するカギは,最初の(つまり,結果の一部を得る前の)可能性をすべて並べ上げ,その上で,結果の一部に基づいて可能性を除去することだ。 この手法が有効な有名な問題がある。引き出しに同じ手触りの4枚の靴下があり,2枚は赤で2枚は青だとする。中を見ずに2枚取り出したとき,それらが同じ色である確率はいくらか。 これを解く最善の方法は,各靴下にラベルを付け,赤1,赤2,青1,青2のように区別することだ。最終的にはどちらの赤靴下でも,またどちらの青靴下でもいいのだが,区別することによって,等確率で起こるすべての可能性を正確に書き出すことができる。 赤1赤2,赤1青1,赤1青2,赤2赤1, 赤2青1,赤2青2,青1赤1,青1赤2, 青1青2,青2赤1,青2赤2,青2青1 これら12通りのうち4通りが望みの結果になるから,その確率は1/3だ。 より抽象的なやり方もある。最初に取り出した靴下が赤である確率は1/2で,次に赤を取り出す確率は,残り3枚のうち赤は1枚しか残っていないから1/3だ。したがって2枚とも赤の確率は1/6。青い靴下でも同じく1/6で,これらは同時には起こらないから,両者を加算して1/3となる。
最初に取り出した靴下が青だと言われたとき,色の揃った対を選べる確率はいくらか。2枚のうちの1枚が青だと言われたときは,どうか。
靴下では面白みがないといけないので,賭けの話にしよう。中の見えない箱が5つあり,2つには100万円,残り3つには同じ重さの紙が入っている。これらは外側からは区別がつかない。あなたはこのうちの1箱をもらえる。もちろん100万円入りを選びたい。 ゲームの規則は次のようなものだ。あなたは箱を1つ選ぶ。相手は,どの箱に現金が入っているかを知っているから,残りの4箱からお金の入っていない箱を2箱開けて見せる。あなたが選んだ箱を含めて3つの箱が残された時点で,あなたは箱を取り替えることができる。
あなたは箱を取り替えるか。確率を計算して判断せよ。
相手がお金の入っていない箱を1箱だけしか開けないとき,あなたは箱を取り替えるか。この問題にも問2と同じ手法が有効だ。
男女の生まれる確率は等しいと仮定しよう。ある家に2人の子どもがいることを知っていて,そのうちの1人が外で遊んでいるのが見えた。その子は女の子だった。もう1人も女の子である確率を求めよ。