パズルの国のアリス

ポーンたちのプレゼント交換(問題)

坂井 公(筑波大学アソシエイト) 題字・イラスト:斉藤重之

 賭け事が大好きな赤のポーンたちが集まってガヤガヤとやっている。アリスが覗いてみると,お決まりの道具である正8面体サイコロはなく,ただ食事をしながら談笑しているようだ。怪訝な顔のアリスに気がついてポーンの1人がいう。「何も俺たちだって,いつも賭け事のためだけに集まっているわけじゃないぜ。実は,不思議の国のトランプ王室で定期的に行われている晩餐会の話を小耳に挟んだんで,チェス王室でも懇親のために開いてみてはどうかなと思ったんだ」。

 だが,赤の女王に提案したところ,「いきなり王室全体でというのもなんだし,お前たち赤のポーンはしょっちゅう集まっているようだから,まずはお前たち8人だけでやってみよ」と言われ,ポーンたちのみの晩餐会を開くことになったという。

 ポーンは続ける。「晩餐会自体はいいんだけど,賭け事をしない集まりは初めてだから,みなが退屈しないようにいくつかイベントを用意したんだ。1つは互いが持ち寄ったものを交換し合う『プレゼント交換』。ちょっと賭けっぽい要素を入れて,くじ引きでどのプレゼントをもらうかを決めることにしたんだ。ちょうどいい,くじを引くのを手伝ってくれないか?」

 もちろん,アリスに断る理由はない。早速くじ引きを始めたが,何人か分を引いた時点で,「あれ,俺,自分が用意したものが当たっちまった。つまんねえな」という声が上がった。確かにそれは面白くなかろう。最初から引き直そうということになったが,どうもこの日は運命の神様の機嫌が悪いようで,8人全員が自分の用意した以外のプレゼントを割り当てられるまでに,結局5回の引き直しを要した。

 読者への最初の問題は,くじ引きが完全にランダムに行われているとき,くじの引き直しがどのくらいの頻度で発生するか,その確率を計算していただくことだ。

 ポーンたちの初めての賭けなし晩餐会は滞りなく進み,最後のイベント,記念写真撮影に移った。ポーンたちは互いによく似ていて,アリスが見ても区別がつかないほどだが,2018年3月号の「平等な綱引き」(『ハートの女王とマハラジャの対決』の第107話)で述べたように,彼らの身長は微妙に異なる。撮影は2回,1回目は左から右に背の低い順に並び,2回目はでたらめに並んで行うことにした。しかし,2回目の撮影を行おうとしたとき,1回目と2回目で2人が同じ順で隣り合うのは面白くないということになり,調整することになった。

 読者には2つ目の問題として,でたらめに並んだ場合に,1回目と同じ順で隣り合う2人組が生じる確率を求めていただきたい。なお,同じ2人が隣り合っていても,左右が異なっていればかまわないものとする。

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