パズルの国のアリス

外れるとヒントがもらえる賭け(解答)

 外れるとヒントがもらえて3回まで試せるというこの賭けだが,一見奇妙に見えるものの,実はヒントなしで7回挑戦できる賭けと実質的に同じだとわかるだろうか? ヒントといっても色々とありうるが,お大尽が提案したタイプのヒントの場合,外した数値との大小関係がわかり,それによって残りの可能性をいつでも二分できることがポイントだ。

 チャンスが1回しかない場合はもちろん1つの値を試す以外にないが,チャンスが2回あれば,1つの値を試した後にヒントに則したもう1つ別の値を試すことができ,これはヒントなしで3つの値を試すのと実質的に同じだ。もしチャンスが3回あれば,最初の1回を外した後でも,まだ2回のチャンスが残っているから,さらに3つずつ別の値を試せると考えられるので合計7つになる。こうして,一般にチャンスがn回ある場合,数学的帰納法により,簡単な計算で2n−1個の値を試せそうだとわかる。

 実際,お大尽が提案したタイプのヒントの場合は,その実現は容易である。試したい数値7つを自由に選び,まずそれを小さいほうから順に並べる。その結果をa1a2a3a4a5a6a7としよう。そして,真ん中の数値a4を1回目に選ぶのだ。外れたときは,ヒントの内容に応じて,もっと大きいと言われれば残った数値の大きいほう3つのうちの真ん中a6を,もっと小さいと言われれば小さいほう3つのうちの真ん中a2を次に選ぶ。あとはおわかりであろう。もし正しい数値が最初に選んだ7つの中にあれば,このやり方で確実に3回以内に当てることができる。もちろん,正解が最初に選んだ7つの数値以外であれば当たるはずはないが,これはしかたのないことだ。

 こうして,問題は最初に7つの数値をどう選ぶかということに帰着された。あとは簡単であろう。報酬額の期待値が大きい順に7つの数値を選ぶ以外は考えられない。ルーレットの目を当てる場合,期待値は目の値が36,35,34,33,32,31,30の順に小さくなっていく。よって,ヤマネはまず真ん中の数値33を最初に選ぶとよい。以後,(外れたときには)ヒントの内容に応じて数値を選んでいけば,正解が30以上の場合は必ず当てることができる。目の出る確率はどれも1/36だから,この場合にお大尽が支払う銀貨枚数の期待値は

である。

 2つのサイコロの目の和を当てる場合はどうだろうか。目の和には2から12までの可能性があるが,それらを出すサイコロの目の組み合わせの数を表にすれば下記の表1のようになることは容易にわかるだろう。3行目に1行目と2行目の数値の積を書いておいたが,それを36で割った値が,その目の和から得られる銀貨枚数の期待値だ。期待値が大きい目の和を7つ選ぶと5,6,7,8,9,10,11である。よってサイコロの目の和による賭けの場合,ヤマネはまず8を選び,以後は先述のやり方に従えばよい。また,この場合にお大尽が支払う銀貨枚数の期待値は

である。

 最後に2つのサイコロの目の積を当てる場合を検討しよう。目の積にはとびとびに1から36までの可能性があるが,和の場合と同様に,それらを出すサイコロの目の組み合わせの数とともに表にすれば上の表2のようになる。和のときと同様に3行目の数値を36で割ったものが,その目の積から得られる銀貨枚数の期待値だ。期待値が大きい積を7つ選ぶと12,15,18,20,24,30,36である。よってサイコロの目の積による賭けの場合,ヤマネは最初に20を選ぶのがよい。また,この場合にお大尽が支払う銀貨枚数の期待値は

である。

 

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