パズルの国のアリス

続・モグラ国芸能団と 白の騎士のコラボ(問題)

坂井 公(筑波大学アソシエイト) 題字・イラスト:斉藤重之

 2019年11月号は,モグラ国芸能団の団長がショーを少し変えたいと鏡の国の白の騎士のところに相談に来た話だったが,今月はその続きの話題にお付き合いいただきたい。

 実は,団長には変更案がもう1つあった。この案も基本的には2017年12月号2019年11月号と同じだ。ショーでは,団員のモグラたちが格子状の「モグラ叩き領域」に,最初,あるパターンで配置されている。叩き手がある特定の形のヘッドを持つハンマーで叩くと,叩かれる位置にいたモグラは瞬時に地面の下にもぐり込んで攻撃をかわし,代わりに一部の別の場所にモグラが顔を出す。これを素早く繰り返して,顔を出しているモグラの数やパターンをある特定のものにするというものだ。

 今回の変更案では,叩き手は,ヘッドが下図のように2個の正方形が斜め方向に連なった形のハンマーを使う。

そして,モグラ叩き領域中の2×2領域で,斜めに連続する2つのマス目にそれぞれモグラが顔を出していて残り2つのマス目のうち少なくとも1つが空いているところを見つけ,ハンマーでその2匹を叩く。すると,2匹は素早く隠れ,2×2領域中の空マス目の1つに別のモグラが顔を出す。

 ハンマーの形以外は2017年12月号と似ているが,目標は最後に1匹にすることだけではないと団長。モグラ叩き領域は四半平面全体(平面全体の右上1/4)を自由に使うことにし,そこに最初にモグラたちをうまく配置しておく。そしてモグラ叩きを繰り返してモグラたちを次第に左下方向に追い込み,最後に左下隅に1匹(団長)だけが顔を出すようにしたいというのだ。

 初期配置ではモグラ叩き領域の左下エリアをなるべく広く空けておきたいと団長は考えているが,どう配置すれば目標を達成できるかわからない。相談を受けた白の騎士はあれこれ考えてようやく左下隅の2×2マス(下図左で青く塗ったマス目)を空けておく初期配置を見つけたが,左下をもっと広く空けようとしてもうまい初期配置が思いつかない。鏡の国を代表する知恵者と自任するハンプティ・ダンプティに頼んで一緒に検討したところ,下図右で青く塗った左下隅の8つのマス目を空けておけるような初期配置は存在しないことがわかった。

 このあたりで読者にも考えていただこう。まずはウォーミングアップとして,下図左で青く塗った4つのマス目を避けてモグラをうまく初期配置し,最後に左下隅の「も」で示したマスだけにモグラが残るようにモグラ叩きを進める手順を考えてほしい。次に本題として,下図右で青く塗った8つのマス目を避けてモグラを初期配置する場合,どう配置しても決して「も」マスだけにモグラが残るようにモグラ叩きを進めることはできないことを証明してほしい。なお,ハンマーは方向を変えて使うことができる。

 さらに余裕がある読者には次の問題はいかがだろう。今度は,ハンマーの形とモグラたちの動きは2017年12月号と同じとする。つまり,ハンマーヘッドは1×2の長方形,叩き手は縦または横に連続する3つのマス目で中央と片端のマス目にモグラが顔を出していてもう片端は空いているところを見つけ,その2匹を目がけて叩く。すると,2匹は地中に隠れ,3つ目の空マス目に別の1匹が顔を出すというものだ。この場合には相当に自由がきき,上図右で青く塗った8つのマス目を避けてモグラたちをうまく初期配置し,最後に左下隅に団長だけが顔を出すような手順を考えるのはそう難しくない。しかしこの場合でも,左と下の2行(下図で青く塗った領域)を避けた初期配置からでは目標を達成できないことを読者は証明できるだろうか?

答えは1月16日に

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